『メルマガNEWSポストセブン』では、ビートたけし、櫻井よしこ、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子といった様々なジャンルで活躍する論客が、毎号書き下ろしで時事批評を展開する。ここでは8月31日に配信された29号より「吉田豪の今週のオピニオン」の一部を公開する。
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世界的なカウンターテナーとして活躍し、ジブリ映画『もののけ姫』の主題歌のヒットで一躍時の人となった米良美一が今、バラエティー番組で躍動している。お笑い芸人たちと共に嬉々としてはしゃぐ姿を誰が想像しただろうか。あのプライドの高い米良に何があったのか。障害、恋愛、スキャンダル…プロインタビュアー・吉田豪の前ですべてを語った。
──8月2日放送の『とんねるずのみなさんのおかげでした』が本当に衝撃的でしたよ。
米良:うわっ! 頑張ってよかったです、ありがとうございます。
──バラエティー的な仕事にもだいぶ覚悟して踏み込むようになったというか、腹を括ったというか。放送中に何度も言われてたじゃないですか、「なんで断らないんですか?」って(笑)。
米良:そうですね、いろんなことを恐れずにチャレンジしていくっていうのが私の人生にはあまりなかったので、いま一生懸命取り組んでるんですけど。そしたら、やってみると意外に、ただ自分自身が恐れていただけで、周りには誰も怖い人はいなくて。世間様が怖いんじゃなくて、実は自分の影に怯えてたんですよね。
──米良さんが石橋貴明さんの乳母車に乗ったり、オムツを替えられたりしてる姿がやけに楽しそうだったんですよ。
米良:そうなんですよ! 楽しかったんですね。それがわかっていただけてうれしいです。こんなにおもしろいんだと思って。売れっ子芸人さんたちのツッコミを生で見られるし、私的にはホントに楽しませていただいて。だから新しいことに取り組んでます、とかいうのもなくて。ようやく楽しみながら…お仕事なんですけど、仕事だろうが遊びだろうが少し楽しめるようになってますね。
──発言も自然になってきてるし。
米良:いや、まだまだ全然自然じゃないですけど(笑)。でも、あの番組はとにかく楽しんでいただければっていうことだったので。ああいうちょっとコント的な、自分で何か発言するんじゃなくて、役を演じるのって楽しいですね。ニコニコしながらベビーカーに乗ったりとか。トイレでオムツを替えられる場面とかも、とにかく「米良さんはいつも笑ってればいいから」っていう設定だったので、それが逆に昭和っぽくて。最後、カツラをボウリング場でボーンって投げられるのも、僕的には『てなもんや三度笠』みたいな感じで。
自分の生まれ持った特性を、自分を崩したり蔑んだりするんじゃなくて、自分の特性を楽しむっていうか。やっぱり自分次第なんだなって。自分の気持ちによってどう関わるか変わってくるんだなっていうのは最近特に感じてます。
──前は米良さんのことをどう表現していいのかわからなかったんですけど、いまは素直に「米良カワユス」って言えるんですよ。
米良:ハハハハハ! ありがとうございます。可愛いって、もう41歳なんですけど(笑)。
■撮影/林鉱輝