北朝鮮の最高指導者、金正恩第一書記(29)が糖尿病と腎臓病、さらに心臓病まで患っているとのうわさが中国内で飛び交っている。つい最近も「北京の中国人民解放軍直属301病院から医師団が平壌に派遣され、金正恩の治療を行なった」とインターネットに書き込みされたが、すぐに消されてしまったという。
金正恩の糖尿病説は、金正恩が昨年12月の父・金正日総書記の葬儀・告別式後、親族らが集まった席で酒を飲んだところ、卒倒して平壌の病院に緊急入院し、中国からの医療チームも緊急に治療を要請され、平壌に駆けつけたという情報が伝えられたことからだ。
中国側の診察では、金正恩は糖尿病で心臓病も併発していたため、脳に十分な血液が回らず昏睡状態に陥ったという。さらに、糖尿病性腎症にかかっており、定期的に治療を受ける必要があると診断された。このため、中国の医療団は1か月に1回は金正恩を治療するため、平壌行きを繰り返しているという。
金正恩の糖尿病は典型的な“贅沢病”で、幼少期から高カロリーの食事をしていたことや、父、金正日の遺伝体質を受け継いだことも大きな要因との見方もある。
金正恩が糖尿病や腎臓病を患っているのではないかと注目されたのは、6月8日から7月1日までの24日間もの長期にわたりその動静が伝えられなかったことからだ。在京の北朝鮮ウォッチャーによると、糖尿病の集中検査及び治療のための長期入院で、北京の医療チームも招かれたとの情報が北京で出ているという。
また、病気説の有力な傍証は、金正恩の視察場所が平壌に集中していることだ。北朝鮮メディアは今年上半期で、金正恩の動静を81件報じているが、視察場所は平壌やその周辺に限られている。同じ場所を1週間に2回視察することも珍しくない。また平壌の遊園地のように、分かっているだけでも、1か月に3回訪問した例もある。
「地方視察では急に発作が起きた場合、対応できないためで、どうしても平壌に限られるのでは」(前出のウォッチャー)との見方も浮上している。
ロイター通信は金正恩が9月中に訪中する可能性があると報じているが、「もちろん、最重要の訪問目的は胡錦濤中国国家主席との首脳会談だが、北京の病院で糖尿病や腎臓病、心臓病などの治療を受けることも大きな目的の一つだ」と北朝鮮ウォッチャーは語っている。