その夜、東京都内の小さな寿司店のカウンターには、喜びの笑顔があふれていた。その場に居合わせた常連客は話す。
「席には7人ほどの団体客が陣取っていて、その会話の中心にいたのは、スキンヘッドで、一見ちょっとコワモテの男性でした。しかし、やさしくなめらかなトークに聞き覚えがあった。
ジッと見てみたら、あの大塚範一さん(63)だった。お酒も口にしていたし、刺身など生ものも食べていた。顔色もよくて“ああ、ずいぶん元気になったんだなぁ”と嬉しくなりましたね」
昨年11月2日、急性リンパ性白血病のため、17年間にわたってキャスターを務めてきた『めざましテレビ』(フジテレビ系)を休養した大塚範一氏。11月7日には闘病中の病院から生電話で番組に出演し、復帰への決意を語っていたが、その願いもむなしく、今年2月28日には正式に番組からの卒業が発表された。
「当初は春の復帰を目指していたが、闘病生活はそう生易しいものではなかった。昨年暮れに番組プロデューサーが病院を訪れて番組の今後について説明したときに、大塚さんのほうから『よいタイミングなので、私も卒業します』と切り出したそうです」(フジ関係者)
その後、大塚氏は抗がん剤による治療を繰り返し、激しい副作用に苦しみながらも病と闘ってきた。そのかいあって、最近では治療の合間に一時退院できるまでになったという。
自由を得た大塚氏が、まず最初にしたことは、家族同然の付き合いである『めざまし』のスタッフらとの邂逅だった。冒頭の寿司屋での一コマこそ、その嬉しい宴だったのである。
「順調にいけば9月ですべての治療が終わるそうで、“そしたら仕事に復帰できる”と本人は意欲満々でした。“すごく若い嫁さんでももらって話題になろう”なんて冗談をいって笑っていました」(前出・常連客)
順調にいけば秋には『めざまし』への「電話出演」程度は可能かもしれない。年の差婚はともかくとして、まずはテレビ界へのカムバックを願うばかりだ。
※週刊ポスト2012年9月14日号