永田町は国政進出準備を進める橋下徹・大阪市長を中心に動いている。与党議員も野党議員も玉の輿を狙う女性よろしく、我先に橋下氏の歓心を買おうとすり寄っている。安倍晋三元首相は維新の会とのパイプを誇示する一方、山田宏・前杉並区長と中田宏・前横浜市長のWヒロシは橋下氏の取り巻きを自認し総選挙の出馬活動に余念がない。
安倍氏やWヒロシらの猛アタックに嫉妬の炎を燃やしているのが、橋下維新と“婚約解消”の危機にあるみんなの党だ。
みんなの党と維新の会は、「政治理念、基本政策はほとんど一致している。党対党でこれまで継続的に話し合いをしてきた」(江田憲司・幹事長)という関係で、みんなの党の公認候補が組織的に維新政治塾に参加するなど、水面下で合併準備を進めてきた。
「6月頃までは相思相愛。解散になる頃までに互いに選挙準備が整っていなかったから協力するしかなく、ゴールインは間違いないと思われていた。“みんなの維新”という政党名も内定していた。だが、維新側が自前の候補者を揃えると態度が急に冷たくなった」(みんなの党議員)
解消が決定的になったのは、8月20日の渡辺喜美・代表と橋下、松井両氏の会談。渡辺氏が対等合併を含めた具体的な選挙協力を提案したが、維新側は難色を示したとされる。会談後、松井氏は「合流の話は一切ない」と破談をほのめかした。
手痛く振られただけではない。維新の会の議員オーディション(公開討論会)には、みんなの党の小熊慎司、上野宏史両参院議員が参加に意欲を見せている。婚約解消の上、維新に議員を引き抜かれる格好になるみんなの党は、「公開討論会への個人での参加は認めない」(江田氏)と関係はこじれてしまった。
みんなの党幹部は、「維新の松井一郎・大阪知事はどうしても橋下氏を安倍さんとくっつけたいようだ」と、安倍-松井ラインによる橋下略奪愛と見ているが、こうなると元のサヤに戻るのは難しそうだ。
※週刊ポスト2012年9月14日号