国際情報

猪瀬直樹氏「灯台・無線基地建設、ヤギ駆除」尖閣計画明かす

 民主党政権の弱腰ぶりが尖閣諸島を危機に晒す中、実効支配強化に向けた歩みを進めているのが東京都である。渦中の猪瀬直樹・東京都副知事を直撃した。猪瀬氏はどのようなプランがあるのか。報道写真家の山本皓一氏が直撃した。

 * * *
――香港の活動家らによる魚釣島上陸と、その後の政府の対応をどう見ますか。

「メドベージェフ・ロシア首相の国後島上陸(7月)、李明博・韓国大統領の竹島上陸(8月)とひと繋がりで考えれば、無策な民主党政権が消滅する前の“駆け込み需要”と言えます。現政権が終わらないうちに、既成事実を積み上げておきたいという意図が感じられる。

 また、上陸時の対応でも明らかなように、海上保安官が陸上で捜査・逮捕権限を行使するための海上保安庁法改正が急務なのに、国会で店晒しにされている。だから先に上陸していた沖縄県警に逮捕させたのです。結局、尖閣防衛の意思もビジョンも見えないまま、泥縄的対応に終始しています」

――都では購入に向けた現地調査を実施する方針ですね。

「海保の巡視船に見劣りしない2000tクラスの大型船をチャーターし、土木や環境、海洋調査の技官ら専門スタッフを連れて行きます。2日ほど滞在し、測量や資源・環境調査などを行ない、灯台や船溜まりを建設できるかどうかなどを検証します。15億円近い寄付をしてくれた国民の思いに応えるべく、準備を進めます」

――購入後は、どんな計画を実行する予定ですか。

「香港の活動家らの上陸で、尖閣海域を無人のままにしておくことの危険性を改めて実感しました。やはり、有人化に向かって動かなければならない。まずは、あの海域で漁業を営む漁船のための灯台、無線の中継基地などの建設を考えています。

 特に、避難のための船溜まりは北小島と南小島周辺に作れそうです。海が荒れやすい海域なので、漁師が安心して仕事ができる環境を整えることが先決です。また、野生化し800頭まで増えたヤギの駆除も手掛けるつもりです」

【猪瀬氏の話を受けての山本氏の意見】

 都はすでに山田吉彦・東海大学教授を専門委員に起用し、「購入後」にどう尖閣諸島を守るかの青写真を描き始めているが、私は、今すぐにでもできることがあると思う。

 例えば、日米合同演習を尖閣周辺海域で行なう、自衛隊のレンジャー訓練を魚釣島で行なう、など。あるいは同海域にブイと結んだ無線中継基地をいくつも投下して、漁業者たちが安心して漁をできるようにすることなどだ。

 中国は周辺海域で漁業監視船や海軍の活動を活発化させている。日本で尖閣の防衛について議論が盛り上がっていることに焦っている証左だろう。彼らはますます圧力を強めてくるだろうが、こうした対策が現実になれば、中国の太平洋進出という野望はまさに「壊死」する。だからこそ我々は、一刻も早く手を打たなければならないのだ。

※SAPIO2012年9月19日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

(左から)豊昇龍、大の里、琴櫻(時事通信フォト)
綱取りの大関・大の里 難敵となるのは豊昇龍・琴櫻よりも「外国出身平幕5人衆」か
週刊ポスト
セ・リーグを代表する主砲の明暗が分かれている(左、中央・時事通信フォト)
絶好調の巨人・岡本&阪神・サトテルと二軍落ちのヤクルト村上宗隆 何が明暗を分けたのか
週刊ポスト
過去のセクハラが報じられた石橋貴明
とんねるず・石橋貴明 恒例の人気特番が消滅危機のなか「がん闘病」を支える女性
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《広末涼子逮捕のウラで…》元夫キャンドル氏が指摘した“プレッシャーで心が豹変” ファンクラブ会員の伸びは鈍化、“バトン”受け継いだ鳥羽氏は沈黙貫く
NEWSポストセブン
過去に共演経験のある俳優・國村隼(左/Getty Images)も今田美桜の魅力を語る(C)NHK連続テレビ小説「あんぱん」NHK総合 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
《生命力に溢れた人》好発進の朝ドラ『あんぱん』ヒロイン今田美桜の魅力を共演者・監督が証言 なぜ誰もが“応援したい”と口を揃えるのか
週刊ポスト
大谷翔平(左)異次元の活躍を支える妻・真美子さん(時事通信フォト)
《第一子出産直前にはゆったり服で》大谷翔平の妻・真美子さんの“最強妻”伝説 料理はプロ級で優しくて誠実な“愛されキャラ”
週刊ポスト
「すき家」のCMキャラクターを長年務める石原さとみ(右/時事通信フォト)
「すき家」ネズミ混入騒動前に石原さとみ出演CMに“異変” 広報担当が明かした“削除の理由”とは 新作CM「ナポリタン牛丼」で“復活”も
NEWSポストセブン
万博で活躍する藤原紀香(時事通信フォト)
《藤原紀香、着物姿で万博お出迎え》「シーンに合わせて着こなし変える」和装のこだわり、愛之助と迎えた晴れ舞台
NEWSポストセブン
川崎
“トリプルボギー不倫”川崎春花が復帰で「頑張れ!」と声援も そのウラで下部ツアー挑戦中の「妻」に異変
NEWSポストセブン
最後まで復活を信じていた
《海外メディアでも物議》八代亜紀さん“プライベート写真”付きCD発売がファンの多いブラジルで報道…レコード会社社長は「もう取材は受けられない」
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《“イケメン俳優が集まるバー”目撃談》田中圭と永野芽郁が酒席で見せた“2人の信頼関係”「酔った2人がじゃれ合いながらバーの玄関を開けて」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ゴールデンウィーク大増ページ合併号
「週刊ポスト」本日発売! ゴールデンウィーク大増ページ合併号
NEWSポストセブン