50才を超えても30代にしか見えないと話題の医師・南雲吉則さん。国際アンチエイジング医学会名誉会長にして、『50歳を超えても30代に見える生き方』『「空腹」が人を健康にする』などの著書を持つ南雲先生が、悩む女性の相談に答える。
【質問】
最近、高校生の息子がものすごく臭いんです。洗濯はこまめにしているし、消臭剤や芳香剤も使っているのですが、家中にいろんなにおいが入り混じって逆効果な気も。自分の加齢臭も心配なので、体臭を抑える方法を教えてください。(ぽん吉・49才・会社員)
【南雲先生の回答】
まだまだ残暑も厳しく、汗をかくことも多いから、確かににおいは気になるよね。対策のために、まず原因を知ることから始めよう。
においには4つの原因があるんだ。1つめは、菌によるもの。たとえば足のにおいだね。皮膚の表面にいるブドウ球菌が繁殖して、納豆のようなにおいを発するために起こる。
これは原因が菌だから退治は比較的簡単で、とにかくよく足を洗うこと。そして、毎日同じ靴は履かない、洗濯できる中敷きなどは洗う、靴はよく乾かすなどして、菌の繁殖を防げばいいね。
そして2つめは種の存続のためのにおい。どういう意味かって?
太古の昔、動物は視界も鳴き声も届かないような広い大地で暮らしていたから、遠くの異性を引きつけるために、においを発するようになった。体のにおいは、異性を引き寄せ、縄張りを主張するための大切な“メッセージ”だったんだね。これがいわゆる、脇の下から出る“フェロモン”。
ところで、脇とか胸とか、「人間ってヘンなところに毛が生えているなあ」って思ったことはないかな? 髪の毛なら脳を守るため、陰毛であれば生殖器を守るためだけど、脇毛はなんのためだと思う? これ、実は“においを出すため”なんだ。
脇の下から出る脂肪酸は、ある種の細菌が分解することで特有のにおいを出すようになるんだけど、脇毛は、これが汗と一緒に流れてしまわないように絡め留めておいて、より効率よくにおわせるためのものってわけ。とはいっても、電話やメールもある今のぼくたちには、においで異性を引きつける必要はない。現代の人間社会では、においはむしろマナー違反になってきちゃってるよね。
においの元=脂肪酸は、脇の下にある“アポクリン汗腺”から出るんだけれど、その分泌を促すのが、血液中のコレステロールから作られる“アンドロゲン”という男性ホルモン。だから、このにおいの元を減らそうと思ったら、コレステロールを減らすことが根本的な解決法なんだ。
そのためには、肉や乳製品を控え、肥満を解消すること! それと、このホルモンはストレスがかかったときに多く分泌されるから、ストレスをためないことも大事だね。
ぼく自身、一日一食、野菜中心の一汁一菜スタイルに変えてから、自分でもビックリするくらい体臭がなくなったんだ。いまじゃ、どっちが履いたほうの靴下だっけ?とわからなくなるくらい(笑い)。
※女性セブン2012年9月13日号