9月19日に東証1部に再上場を予定している日本航空(JAL)。8月30日には株式売り出し価格を1株当たり3500~3790円とすると発表した(最終的な売り出し価格は9月10日に決定される)。
再上場で調達されるのは6630億円の見通しで、今年に入ってからの規模としては、5月米ナスダックに上場したフェイスブックが調達した160億ドル(約1兆2500億円)に次ぐ、超大型ファイナンスとなる。
フェイスブックの上場時は「市場活性化の起爆剤になる」との期待からお祭り騒ぎになったが、JALの場合はどうか。市場動向に詳しいカブ知恵代表・藤井英敏氏はこう解説する。
「これだけ日本のマーケットが冷え込んでいる中での、大型ファイナンスは迷惑以外の何物でもない。幹事証券会社は引き受け手数料が入るからバンバン顧客にJAL株をセールスするでしょう。しかし、相場全体の地合いが悪いので、顧客は新規資金でJAL株を買わず、購入資金捻出ために保有株式の換金売りに迫られます。結果、TOPIX(東証株価指数)を押し下げることになるでしょう。
特に、全日本空輸(ANA)やスカイマークといった同業他社の株は換金売りの対象となりやすく、JALの再上場にほんとうに迷惑しているのではないでしょうか(苦笑)。そもそも経営に失敗した企業が国の援助で復活する……。信用創造をする銀行なら仕方ないですが、一事業会社がそのような形で復活するというのは、公正な競争上、問題です。特に、ライバルのANAは商売的にも、株価的にも可哀想ですね」
気になる再上場後のJALの株価は、どう動くのか。
「初値はしっかりつくと思います。売り出し価格は上限の3790円で決まり、初値も3850~3900円あたりでしょうか。その後は横ばいの展開が続くかもしれませんが、株価を押し上げる材料はほとんど見あたらない。数週間後には間違いなく、公募売り出し価格を割り込んでくるでしょうね」(藤井氏)
JAL再生に向けて苦難の道は、まだまだ続きそうだ。