虫歯や歯周病を予防する「オーラルケア」意識の高まりからか、電動歯ブラシの売れ行きが好調だ。最近では超音波で振動するもの、誤作動に反応するセンサー、持ち運びに便利な携帯用、USB充電……など、店頭にはさまざまな機能を売りにした商品が並び、思わず目移りしてしまう。だが、安易に購入してしまうと「無用の長物」にもなりかねない。“元祖アイドル歯科医”の中田彩先生が、自分にフィットする電動歯ブラシの選び方をレクチャーしてくれた。
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電動歯ブラシといっても、ブラシ自体がマッサージ機のように振動する一般的な「電動タイプ」と、高速振動しながら細かい音波でプラーク(歯垢)を除去するする「音波タイプ」、さらにミクロレベルの細菌を壊す破壊力はあるけれど、振動はあくまで補助的で大きな汚れは手磨きのように自分で動かさなければ落ちない「超音波タイプ」の3種類に分けられます。
いまの主流は歯科医でも広く薦めている「音波タイプ」。口の中の細菌や歯の表面の汚れを取る総合的なプラーク除去率でもっとも優れていて、一般的な虫歯予防には最適です。ただ、歯周病など歯茎に心配のある人は自分で動かす超音波がおススメです。
次に、歯ブラシの形状や大きさが自分の歯にマッチするかが選び方のポイントです。よく「○○カットで○○部分が傾斜して……」と凝ったデザインの商品がありますが、私はシンプルなデザインが初心者向けだと思います。
いきなり難しい形のもので難しい部分まで磨こうと思っても上手に使いこなせません。もちろん、手磨きのときからテクニックをお持ちの方なら別ですが……。
男性によく見られるのは、いろんな形の替えブラシが揃っている商品のほうが、より高機能でカッコイイと飛びついてしまうこと。でも、決してそんなことはありません。
小さめの歯ブラシを選ぶことも大切な要素です。例えるなら、口の中の細い道を軽自動車でスイスイと小回りを利かせて走るイメージ。小さいほうが使いやすいんです。
小さくて便利なのはブラシだけではありません。本体もコンパクトで軽いのがいいですね。小さいほうが振動の衝撃が少なくやさしい口当たりですし、値段も安めで懐にもやさしい。
音波・超音波歯ブラシは高い商品だと2万円を超すものがありますが、最近はコンパクトでおしゃれな携帯用など5000円以下で買えるものもあります。私も外出時はカバンに忍ばせています。
電動歯ブラシは、より高価で最新式で図体も大きな“メカ”が優れているとは限りません。手磨きのときに使っていた歯ブラシを思い出して、それに近いものを選ぶこと。そして、用途や使用頻度、生活環境などに合わせて、あなたとピッタリ相性の合うアイテムを探し出してくださいね。
【プロフィール】
中田彩(なかた・あや)1975年生まれ。テレビ出演や写真集・DVDリリースなどタレント活動をしながら、現役歯科医としてデンタルクリニック南池袋に勤務。美人歯科女医2名からなるユニット『スマイル向上委員会』としての活動も展開中。