白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏が、痛風発作とアルコールとの関係について解説する。
* * *
尿酸の濃度が著しく上昇すると、特に体温が低い足部などで尿酸が溶解しきれずに関節内で結晶化し、激しい痛みを伴った発作を誘発する。これが「痛風」である。この痛風を引き起こす尿酸とは、プリン体と呼ばれる物質の代謝産物であり、プリン体を多く摂取すると高尿酸血症さらには痛風の引き金となると考えられる。
プリン体は肉、魚、乳製品や野菜にも含まれるが、同じプリン体でも、肉や魚に含まれるプリン体が痛風発作のリスクを高めるのに対し、乳製品や野菜に含まれるプリン体は高めないことがわかった。
マサチューセッツ総合病院リウマチ科のヒョン・コワ博士が「肥満傾向があり肉をたくさん摂取する男性」群の痛風発作リスクを調べたところ、「肥満傾向がなく肉の摂取量が最も少ない男性」群に比べて、リスクは2.25倍に上昇していることがわかった。
さらに魚の摂取量に関しても同様の結果が得られた。「肥満傾向があり魚の摂取量が最も多い男性」群は、「肥満傾向がなく魚の摂取量が最も少ない男性」群の2.73倍の痛風発作リスクを示した。
一方、興味深いことに、乳製品は逆の傾向が見られた。「肥満傾向があり乳製品の摂取量が最も多い男性」群は、「肥満傾向がなく乳製品の摂取量が最も少ない男性」群に比べ痛風発作のリスクが0.74倍と減少。この傾向は肥満傾向がなく乳製品の摂取が最も多い男性群でも0.58倍と明らかな予防効果を示している。
コーヒーにも痛風予防効果が認められていることから、尿酸値の高い男性には「コーヒー牛乳」がおすすめかも知れない。
※週刊ポスト2012年9月14日号