8月27日、市川染五郎(39才)が、東京国立劇場での公演中に、舞台から3m下の奈落へ転落、頭部と右半身に大怪我を負い、現在都内の病院に入院中となっている。
1998年6月には、歌舞伎役者の中村福助(51才)も、同じく国立劇場の奈落に転落し、右手首粉砕骨折、肋骨3本骨折という大怪我を負った。京都造形芸術大学教授で、歌舞伎舞台のプロデューサーでもある橘市郎氏が、セリについてこう解説する。
「暗闇の中で、セリを使ってセットや人がこつ然と現れたり消えたりする。これが演出効果なので、セリにライトは当てられないんです。役者は見えないなか、経験則で距離を測るしかない。また、国立劇場のセリは3m、6m、10mの3段階で上下します。今回は3mで止まっていましたが、6mや10mだった場合、生死にかかわる大事故の可能性もありました」
当初、染五郎の怪我の状態は「右側頭部および右半身の打撲」と発表され、脳や脊髄への損傷はないとのことだった。だが、ここにきて新たに“右手首の骨折”も発表された。
「幸四郎さんも多くは語りませんが、右手首は複雑骨折だそうで、そんなにすぐ復帰できる怪我ではありません。歌舞伎の踊りは腕、そして指先の動きが重要だから、復帰したとしても、はたして元通りの演技ができるのかどうか…」(歌舞伎関係者)
役者人生に危機が迫るほどの怪我なのではと心配する声もあるのだ。そんななか、父の危機に気丈な姿を見せているのが長男・金太郎くんだ。
「9月下旬に公演が控えており、そこで長唄を披露することになっています。祖父の幸四郎さんから、“きみが頑張ることを、病院のお父さんも望んでいるんだ”と諭され、休まずに稽古に出ているそうです」(前出・歌舞伎関係者)
※女性セブン2012年9月20日号