西川文二氏は、1957年生まれ。主宰するCan! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導している。その西川氏が、飼い犬の「防災訓練」について解説する。
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防災の日の9月1日が土曜日だったってことで、遅れて防災訓練を行なうってところが多いのでは?
昔は地震よりももっと怖いのはその後の火事ってことで、ご家庭だとまず火の始末! ってのがよく言われてましたがね。なんでも都市ガスだと地震を感知すると元栓が閉まるんだとかで、現在はとにかく、身の安全の確保が最優先。
さて、犬を飼われている場合はどうしましょう? 犬を放っておいて、自分だけ机の下に隠れるってわけにはいかない。なになに、犬をオイデで呼び寄せて、一緒に机の下に隠れる。
いいですね。オイデが完璧な犬なら、グッドな選択。でも、揺れがひどくなって犬がパニックを起こしたら、貴兄の腕から暴れて逃げ出すかも知れませんぞ。
実は私が主宰している教室では、年に数回、「万が一に備えて」クラスってのをやってまして、そこでは次のように指導している。
ぐらっと来たら、まずハウス。ハウスの指示で、クレートに飛び込ませる。クレートは犬にとって、貴兄にとっての机の下のようなもの。物が落ちてきたって、何かが倒れてきたって、身の安全を確保できる。扉を閉めれば、どこかに逃げ出すなんてことも防げる。
実際には、緊急地震速報のアナウンスが流れると、飼い主の指示がなくともクレートに入るところまで、トレーニングする。
すでにクレート好きにしているのなら、トレーニング方法は至って簡単。緊急地震速報を録音して、その音を流してはクレートにフードを投げ込み、中に飛び込ませる。これを1日数回繰り返す。
するとどうでしょう、しばらくすると、緊急地震速報を耳にするだけで、クレートに自ら飛び込むようになるではあ~りませんか。このトレーニング、地震に備えて地震をもって、いや自信をもって、お薦めする次第であります。
※週刊ポスト2012年9月14日号