中国では共産党幹部の不正・腐敗への不満が爆発し、過酷な弾圧をはねのけての抗議行動や暴動が続発している。最新の状況を評論家の宮崎正弘氏が報告する。
* * *
7月下旬に豪雨に襲われ多くの死者を出した北京市。その北京市では8月初旬に凄まじい暴動が起きた。
場所は西城区菜市。発端はビル開発のための立ち退きに不同意の住民が暴力団と乱闘を始めたことだった。ブルドーザーやクレーンを駆動して、住民がまだ住んでいる建物を破壊する暴力団。住民は棍棒、鉄棒で武装し、対決したのだ。
西城区は人民大会堂など中国の政府、党、軍の重要機関が密集し、中南海も位置するエリアである。当然、警備も厳戒なエリアであるはずだが、それでも庶民が権力の走狗、暴力団を懼(おそ)れずに戦った事件として記憶にとどめるべきであろう。
かくて中国民衆の権力に対する抗議行動は、もはや中央、地方問わず各地で拡大中である。
※SAPIO2012年9月19日号