石原慎太郎・東京都知事が尖閣諸島の購入計画を表明したのは、今年4月のこと。方針への賛同者から約14億円の寄付金を集め、9月2日には、都が購入に向けた周辺海域の調査を行なった。
しかし事態は急変する。5日、「20億5000万円で売ることで、政府と地権者が合意に至った」との報道が出たのだ。これに対し石原氏は、「地権者は『合意していない』といっている」と否定するなど、尖閣諸島を巡る両者の見解は大きな食い違いを見せた。
真相を知るのは、売却先の決定権を持つ地権者だが、その実弟・栗原弘行氏は困惑を隠せない。
「報道の時点で合意したとは聞いていない。もし記事が事実ならば、国や都から正式発表があるはず。私たちは都と売却話を進めてきたし、都も購入額を算定するために経費をかけて実地調査してきた。石原氏に黙って国に売却したとなれば、私たちは裏切り者になってしまう」
※週刊ポスト2012年9月21・28日号