前中日ドラゴンズ監督の落合博満氏が救急車で運ばれたことを本誌が8月27日発売号でスクープしたが、9月2日、群馬県伊勢崎市で行なわれた講演で落合氏は顔面神経麻痺だったことを明かした。
落合氏が「健康不安」に脅かされる前まで、野球の世界大会・WBC監督はほとんど落合氏で一本化されていたといっても過言ではない。巨人の渡邉恒雄・球団会長(86)はラジオ番組で監督人事についてこう発言していた。
「落合君しかいない。だって他にいますか。中日をあれだけ強くしたし、軍師としての采配力はやっぱり一番じゃないですか」
だが、この番組が放送されたのは、本誌報道の前日のことだった。その後に表面化したアクシデントで、状況は一変してしまったのである。
「渡邉会長の発言は、落合氏を日本代表監督に持ち上げ、そこで実績を上げれば巨人の監督に迎えようという計算ずくのもの。落合氏自身も“オレはもう一度ユニフォームを着るよ”と参謀の森繁和・前中日ヘッドコーチらに約束していた。それは日本代表監督であり、巨人の監督でした。しかし、健康問題が噴き出したことで、予定は狂ってしまった」(スポーツ紙巨人番記者)
先の講演で落合氏は、「お日さまが西から上がっても、WBCの監督はやらない。ってことは、一生涯ないっていうことです」と断言している。これで監督選びは白紙に戻り、迷走を始めることになった。
落合氏が講演会で“有力候補”として名前を挙げたのは野村克也・元楽天監督だった。だが、その目は薄いと球界の有力者は語る。
「日本代表監督を若返らせたいということに加え、野村さんも2年前に倒れているから、健康問題がネックになっている。また、前回のWBC監督選考では、“ワシが便所に行っている間に原(辰徳・巨人監督・54)に決まっていた”とマスコミに暴露するなど、関係者は野村さんにだけはさせたくないという思いが強い」
他に有力候補とされているのは、昨季日本一になったソフトバンクの秋山幸二監督(50)と巨人の原辰徳監督(54)という2人の現役監督だ。しかし、加藤良三コミッショナーが「現場の監督がWBCの監督をやるのはきついという声が多い」と語るなど難航を極めている。
※週刊ポスト2012年9月21・28日号