わかりやすい解説でお馴染みの流通ジャーナリスト・金子哲雄氏が、女性セブン8月23・30日号に掲載された「『なぜかお金がたまる』性格になる」という特集記事を足がかりに、「財布とニッポンと経済」の関係に迫る。
* * *
女性セブンの「なぜかお金が貯まる」シリーズは毎回、読者アンケートで上位に来るそうですが、その背景には「なぜかお金が貯まらない」たくさんの読者たちがいるのではないでしょうか。
かつて経済成長が当たり前だった時代、女性誌には、金融商品を買ってガッチリ資産を増やそうという記事が多かった。しかし今、サラリーマンの平均月給が15年前より6万円も減の、31万円まで下がり、貯蓄高も減少傾向にあります。金融商品等を購入する元手を確保するため「なぜかお金が貯まる」のような資金ゼロで何かできそうな記事が求められているのでしょう。
今回はお金の使い方の心得が説かれていましたが、これはメタボにならないための生活心得と同じ。つまり、「なぜかお金が貯まらない」のは生活習慣病なんだと思います。「なぜかお金が貯まる」は、その人たちのいわばカウンセリングですね。
最近はお財布記事の人気も高いそうです。ぼくもセブンの記事がきっかけで、お財布アドバイスのテレビ特番に出演させていただき、おかげさまで好評だったようです。たしかにお財布を拝見しますと、そのかたの金銭感覚がわかりますよね。和田アキ子さんはいつでもお心付けをお渡しできるよう、ポチ袋をお財布の中に入れてらっしゃいました。
記事に載っているお財布を見ると、お金を使いやすい派手な「攻撃的な財布」から、支出が減る「守りの財布」に変化してきていると感じます。「財布を見ればニッポンと経済がわかる」かもしれません。
※女性セブン2012年9月20日号