広島カープの前回のリーグ優勝は21年前。Aクラス入りも14年連続で果たしていない。
「優勝を知る未成年の広島ファンはいない。小学生はAクラスを見たこともない。今年こそ、息子に“広島は強いんだ”と教えてあげるチャンスです。何としてもCS(クライマックスシリーズ)に出場して、日本シリーズ出場を狙ってほしい」
夏休み最後の週末、甲子園での阪神戦を観戦した子連れのカープファンの父親は興奮気味に口にする。そんな赤ヘル党に勇気を与える一言を引き出そうと、試合後に野村謙二郎・監督を直撃すると、
「ファンの期待は本当にありがたい。私や選手の励みになっています。残り試合、その期待を裏切らないようにやるしかないと思っています」
と、神妙な表情で語った。広島番記者がいう。
「今季は4番の栗原が故障で離脱し、守護神・サファテも戦列を離れた。そんな中でも3位争いをしているのは、マエケン(前田健太)とルーキー・野村の活躍、そして野村監督の辛抱強い采配によるところが大きい。ただ、ヤクルトとの3位争いはこれからが正念場だけに、勝っても監督は笑顔ひとつ見せません」
※週刊ポスト2012年9月28日号