プロ野球も終盤戦に突入している。セ・リーグの3位争いを左右するのが、数年来、広島と最下位の椅子を争っている横浜DeNAだという。
「9月以降に広島は横浜と6試合、ヤクルトは7試合を残している。ウチは横浜を得意にしているが、ヤクルトは苦手。この横浜戦でどれだけ貯金できるかが鍵になる」(広島番記者)
が、そんな“上から目線”ぶりを横浜ナインとファンが知れば、嫉妬心で広島に本気になってぶつかってくるのでは……と心配になる。そこで、本誌記者は野村監督に訊ねた。
――監督、横浜ファンにも一言お願いします。
「……。はい?」
そりゃそうだ。説明しないとわからない。
――ええ。いつもBクラスで仲良くしてきた横浜ファンが寂しがっているようなので、励ましのお言葉を。
「……(ますますキョトンとした表情に)」
――広島に置いてきぼりにされた横浜ファンに、です。
(すると、ようやく質問の意味が理解できたらしい)
「あのねェ……。そんなこと僕がいえるわけないでしょ。頑張るだけです」
――“横浜も頑張れ”と。
「……(首をかしげ、無言で立ち去る)」
監督が最後まで表情を崩さずにスタスタと引き揚げていった後、監督をとり囲んでいたチーム関係者、番記者、ファンからは失笑が漏れた。
何はともあれ、野村監督に油断はなさそう。横浜の指揮官が見習うべき点は、この落ち着きぶりなのかもしれない。
※週刊ポスト2012年9月28日号