いよいよ橋下徹・大阪市長を党首とする大阪維新の会の新党が立ち上がる。その総選挙候補者の中には、野田首相の“お膝元”から出馬を宣言する注目候補がいる。
9月中に始まる維新の候補者公募には、本誌が先月公開した「維新塾生888人」から多くの塾生が手を挙げると見られている。その中に「現職総理大臣の落選」という“憲政史上初のサプライズ”を狙う人物がいる。
それが、佐藤浩・千葉県議会議員。佐藤氏は船橋市選出で小選挙区では千葉4区となり、野田首相の対抗馬となるのだ。佐藤氏はみんなの党所属として県議を務めてきたが、先月17日に離党届を提出。新党からの立候補の意志を明確にしている。
「私はもともとの地盤が船橋市ですから、船橋市以外から出るつもりはありません。現職総理を相手にするのは大変ですが、維新八策を実現するために全力を尽くします。(県議出身の)野田総理は地元の先輩政治家であり、早稲田大学の先輩でもあります。
野田総理は、もともと“金権千葉”といわれていた千葉県の選挙に、“政策論争”を持ち込んだ政治家です。選挙で政策論争ができるようになったのは、野田総理の功績といっていい。
しかし、その野田さんが皮肉なことに、マニフェストに書いていない消費増税を行なった。私はそれに立ち向かっていきます」
維新塾への入塾を決意した理由は、橋下氏が掲げる政策への共感だという。
「昨年秋、当時小学校5年生だった長男がいじめを受けていたことがわかりました。いじめ問題を調べているうちに、対策のための法整備が必要だと感じるようになった。そんな中、橋下さん(当時は府知事)が、大阪府で教育基本条例案(大阪府教育行政基本条例)を出すという動きがあったんです。
これは、教育行政は首長が決めるものであり、そこに民意を反映させるということ。この政策以外にも、政策実行力、スピード感は高く評価できる。そんな橋下さんが塾をつくると聞いてぜひ勉強したいと思い、入塾を決めたんです」
佐藤氏はみんなの党所属議員として、行政改革の実現を目指してきた。しかし、維新塾の1次選考を終えた今年6月あたりから、党内には“瓦解”の兆候が見え始めていたという。
「みんなの党の国会議員が維新の会に合流するというのは、マスコミで報道される前から噂になっていました。しかし、みんなの党と維新の会の合流は難しいということが明らかになった。私自身、みんなの党の理念には合致していましたが、国会議員を中心とした“中央集権”的な党運営には不満を感じていた。
みんなの党と維新の会は政策が同じでありながら、実行力は維新の会の方があります。そう考え、みんなの党を離党しました」
すでに選挙戦略も決めている。
「もし私が千葉4区の候補者になれば、ツイッターを駆使し、政策討論型の選挙活動を行ないたいと思っています」
「選挙に出るからには勝ちを目指します」と佐藤氏は語る。
※週刊ポスト2012年9月21・28日号