『メルマガNEWSポストセブン』では、ビートたけし、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子といった様々なジャンルで活躍する論客が、毎号書き下ろしで時事批評を展開する。ここでは現在配信中の30号より「吉田豪の今週のオピニオン」の一部を公開する
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ジブリ映画『もののけ姫』の主題歌のヒットで知られる米良美一が、最近、“吹っ切れている”と評判だ。バラエティー番組では、着けていたカツラをボウリング球のように投げられたり、オシメをつけてベビーカーに乗せられたり…。
米良は世界的なカウンターテナーでお笑い芸人なんかではない。なぜ、バラエティー番組で躍動しているのか? その答えは彼の心の変化にある。自身の生い立ち、肉体的な障害、性別を超えた恋、松田聖子のこと…。プロインタビュアー・吉田豪にすべてを語った──。
──いまいいなと思ってる有名人の方とかいらっしゃいます?
米良:好きな芸人さんっていうと、ゴマするわけじゃないですけど、とんねるずのおふたりはホントに好きです。こうやって個人的にお仕事でお世話になるようになって、ますます…タカさんとか、テレビで見てた頃はもっと鋭い感じがしてたんですけど、お年を重ねられたっていうのもあるのかもしれませんが、すっごく紳士で優しい方なんですよ。自分とちゃんと向き合ってらっしゃるのがすごく感じられて。
──石橋さんもここ数年で東京芸人をまとめていこうってモードになったり、だいぶ変わったんでしょうね。
米良:でしょうね。いい感じでご縁をいただいて。だから、心から尊敬してます。
──ラブの感情ではなくて。
米良:ああ、ラブの感情…でも、それもラブですからね。愛ですよ。いい意味でエロエロエネルギーが減ったので、全部ラブなんですよ。
──なるほど、人類愛的なラブで。
米良:よっぽど喧嘩ばっかりしてる恋人や、罵り合ってる夫婦よりも話がわかり合ってる、だからいま僕、吉田さんとラブなんですよ。
──やった(笑)。
米良:吉田さんの気持ちもラブだと思ったから、今回の取材は『週刊ポスト』さんって聞いたけど…。
──怖がらずに受けていただいて。
米良:ふたつ返事で、「やりたい!」と。さんまさんの番組で一緒になったとき、吉田さんが「一緒に写真撮りましょうよ」って言ってくださったのに、僕はそれに応えないままだったから…あのあと手紙書こうと思ったんですよ。
──そうなんですか!
米良:でも、書いてないから口だけなんですけど。そしたら吉田さんからこうやってアクションをくださって、すっごくうれしくて。
──これからの米良さんが楽しみになってきましたよ!
米良:ああ、もうホント頑張ります!
──みんなが喜ぶならどこまでいくんだろうって気がしますけど。
米良:そういう気持ちではいるんです。残りの人生を、人生80年って考えたら半分じゃないですか。残りの半分は丸々人のために、人を喜ばせるために。どうやったら喜ばせられるんだろうっていうことばっかり考えてる毎日になりたいなと思って。その前は反省もしないで逃げてばっかりいて、そのあとは反省ばっかりしてきたので、そろそろ喜ばせることばっかりを考える頭になりたいなっていうか。
──残りの人生も反省だけじゃキツいですもんね。
米良:もうキツくなってきてるんで、早くその段階を越えて、あとは楽しくありたいですね。
──恋愛も頑張ってくださいよ。
米良:そうですね、松田聖子さんを見習って(笑)。でも、いまはとにかく分け隔てなく人を好きになれるように。分け隔てなく愛せるようにとまでは自信を持って言えませんけど、好きになれるようにはなりました。それはやらしいこと考えてないし、やましさがないから言えるのかな?
──初対面でボクが「新宿2丁目に住んでるんですよ」って挨拶したら、「懐かしい!」って言ってましたもんね。
米良:ホント行ってないんですよ。2丁目はいいところだし楽しいお店もいっぱいあるけど、いまとにかくそんなにお酒も求めてないし。
──そういう享楽的なものを求めてないわけですね。
米良:うん、そっちを求めなくても、もっと頭がランナーズハイみたいな状態になるから。人が笑ってくれたり、人が喜んでくれたりすることをしてるときがすごく気持ちいい。そういうときのものを超える快楽は酒でもエッチでもないですね。そういうものと会えたときはすごく幸せです、ステージの上とか番組とか。
■撮影/林鉱輝