9月6日、『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)で、志村けん(62才)とお揃いのオーバーオール姿で人気を呼んだチンパンジーのパンくんが、熊本県阿蘇市の観光施設『阿蘇カドリー・ドミニオン』のショーの最中に女性を襲う事件が起きた。襲われた女性研修生は額と腹部、足首を噛まれ、全治2週間。足首のアキレス腱のあたりは噛みつかれたことで、肉がそげ落ちそうになっていたという。
2001年10月、宮崎県の宮崎市フェニックス自然動物園で生まれたパンくん。2004年に現在のトレーナーである宮沢厚さんが所属するカドリー・ドミニオンに移されると、『志村どうぶつ園』へのテレビ出演が始まった。しかし、このテレビ出演が問題として取り上げられてしまう。争点は「種の保存法」に違反していないかどうかだった。日本動物園水族館協会前会長の小宮輝之氏が説明する。
「稀少動物の取引を規制する国際法であるワシントン条約のリストに指定されている動物は、『種の保存法』によって繁殖目的以外での譲渡が禁じられているんです。ですが、パンくんは明らかにショーのために譲渡されています。チンパンジーは3、4才までに群れの中で見よう見まねで繁殖を学びます。それなのに群れから離し、あのように擬人化してしまうと、本来の野生の姿を大きく歪めてしまうんです」
2005年8月には、当時、環境大臣だった小池百合子議員(60才)が「本来の目的から逸れていると判断されれば、動物園に対して適切に指導をしていきたい」と警告。前出の小宮氏も小池議員とともに、カドリー・ドミニオンに対し、事情聴取を行い、話し合いを重ねてきた。
しかし2009年1月、カドリー・ドミニオンはこれを反故にする形で、日本動物園水族館協会を退会。パンくんはテレビや舞台に立ち続けた。
「チンパンジーは6才を超え、性成熟を迎えるにつれて人のいうことをきかなくなってしまいます。大人のチンパンジーは握力は200kgを超え、人を襲うこともある猛獣なんです。人気があるからといって、パンくんだけが例外というのは、人間の勝手な解釈でしかありません」(前出・小宮氏)
※女性セブン2012年9月27日号