眼が疲れたときは「眼の照気法」を
最近、近視や老眼、疲れ目、ドライアイにも効くと話題になっているのが「眼ヨガ」。眼の悩みに効くヨガを集めた『眼ヨガ――龍村式ヨガ健康法』(日貿出版社刊)の著者で、「龍村ヨガ研究所」を主宰する龍村修氏は、「眼にも運動不足がある」という。
「今、電車で車窓から景色を眺めている人がどれだけいるでしょうか。遠くを眺めることが、そもそもなくなってきている。眼でみる範囲が、とても小さい。それがまず、眼の運動不足を招いています。視野を狭めることは、眼の運動範囲を狭めることなんです」(龍村氏、以下「」内同)
運動不足で眼を動かす筋肉群が凝り固まることで、血行不足を招き、老廃物が溜まる。やがて、少し動かしただけでも、すぐに疲れを感じるようになる。そうした悪循環に現代人は陥っているのだと、龍村氏は警鐘を鳴らす。
「みなさん、眼の使い方が下手。首や肩が緊張した血行不良の状態で眼を使えば、やはり疲れてしまうんです」
パソコンやケータイなどのデジタル機器から発せられるブルーライトもまた、眼を疲れさせている。
「ブルーライトはそもそも、私たちの遺伝子にはない色調です。自然な色調であれば長時間みていても疲れないのです。パソコン画面を1時間見続けるのと、赤ちゃんの顔を1時間見続けるのとでは、眼にかかる負担がまるで違ってくるんですよ」
そこで、生活の中で眼を疲れさせない工夫が大事なのだと、龍村氏は指摘する。まずは疲れを溜めないこと。
「パソコンで作業をするとき、眼が疲れ切ってから目薬をさすのではなく、1時間作業をしたら1分間、簡単な眼ヨガ『照気法』(*注)を実践してみる。メガネをかけている人は、たまに外して眼を休ませる。
メガネは、本来遠くにあるものを、眼には運動させずにレンズが調節して、近くに見えさせます。眼の本来の動きを、補助の名目で阻んでしまっている。その運動不足を解消しましょう。仕事の合間やテレビを見ながら数分のツボ刺激や指のストレッチで、リフレッシュ効果があります」
【*注】眼の照気法/手から眼へ新鮮な「気」を送り、疲れや老廃物をとるヨガの修正法。順序は、両手のひらをこすり合わせ、暖める。そして眼をとじ、両手のひらで両眼を覆った後、ゆっくりと息を吸い、吐く。この深呼吸を10回繰り返す。
※週刊ポスト2012年9月21・28日号