年間100万円貯める――言うは易し、行うは難しで、特にこの不況下、「そんな余裕はない!」と感じている人がほとんどでは? でも、全国を見れば、「100万円貯金」に成功しているやりくり上手な主婦もいる。
彼女たちの共通点は、とにかく「書いている」こと。夢を叶えるための便利帳、それは1日数分のカンタンな習慣でつくれるのだ。
「1か月の食費はいくらですか?」
ファイナンシャル・プランナー(FP)の花輪陽子さんは、家計相談に訪れた人にまずこの質問をする。その答えで“家計への処方箋”を判断するという。
「家計の見直しを行う前にそもそも1か月の収入と支出をしっかり把握しているかを見させていただきます。特に食費は家計の中でも中心となる出費。これを把握していないかたには、年間100万円貯金は夢のまた夢です」
とはいえ、「家計管理は難しくて面倒…」とためらう人も多いはず。実際、時間をかけて家計管理をしても、収入が増えるわけではない。日々の買い物で節約を心がけていれば足りるような気もする。しかし、花輪さんはこのように指摘する。
「いい買い物をしたか、悪い買い物をしたかは、書くことで初めて客観的に見つめ直すことができます。例えば、特売品を買ったとき。そのときはお得感を味わえても、家に帰ったら冷蔵庫に同じ食材があって結局使い切れなかった…なんて経験は皆さんにあるはずです。ムダな買い物をした後悔を一瞬で終わらせないために、出費の記録を自分の手で書き、反省を心に刻みこんでおくことが重要なのです」
とにかく書き続けることを目標に、花輪さんが提案するのは、レシートを見て「店名」と「合計金額」を書くだけの「毎日つけたくなる便利帳」だ。1日5分で記入ができ、日記代わりとしても使えるし、家計管理に必要な要素はきっちり詰まっている。
「書き出すのは、『食』『暮』『その他』の3費目だけで充分です。食費は『食』、日用品費や衣服費など生活に必要なものは『暮』。毎日の生活で出る出費はこのふたつがほとんどです。あとは『その他』でまとめて、『食』『暮』を中心にムダがないかを振り返ります」
自分でつくるノートなので、カスタマイズも自由。例えば、「教育費」に多くのお金がかかる家庭は、「暮」を「教」と変更することも。
このノートを活用して、年間100万円貯めるにはもうワンステップ必要になる。
「ノートを1か月続けて自分の家計を把握したら、年間の貯金プランを立てましょう」
例えば、上記の便利帳を1か月つけてみて、収入が30万円、支出が27万円だった場合、黒字額は月3万円。同様の生活を続けても、12か月で計36万円の貯金にしかならない。夏冬のボーナスで計40万円貯めるとしても、合計は76万円で100万円には届かない。
「足りないのは24万円分。だとすれば、月2万円の節約(=12か月で24万円)が目標となります」
むやみに節約するのではなく、こうして具体的な目標を立てることで、出費のうち何を削るべきかも見えてくる。花輪さんのもとに相談に訪れた人の中には、このようなノートを活用して、年収500万円でも年間100万円の貯金を実現したケースが少なくないという。
※女性セブン2012年9月27日号