去る8月29日、ショッキングな報道が世間を賑わせた。「妊婦血液でダウン症診断」「精度99%」「35才以上対象」「9月にも導入へ」…。
ごく一般的な腕からの採血だけで、ダウン症など3種類の染色体異常が99%の確率で判別できるようになったというのだ。この出生前診断の新型検査は、国立成育医療研究センターや昭和大、東大、慈恵医大(いずれも東京)、横浜市大など国内の10施設で導入が検討され、10月から臨床研究が開始されるという。
35才以上が対象となっているのは、20代の後半から始まる卵子の老化などにより、染色体の異常を招く確率が高くなるためだ。ダウン症の子供の生まれる確率は、25才の母親で1040分の1なのに対し、35才になると295分の1になるとのデータもある。
これまで出生前診断といえば、妊婦の腹部に針を刺して子宮内から羊水を採取し、胎児の細胞の異常を調べる「羊水検査」が知られてきた。高齢出産の増加によって、近年は年間に約1万6000人が羊水検査を受けている。しかし、羊水検査は精度こそ高いものの、0.3%の確率で流産の危険性も伴う。それは約300人に1人の確率であり、決して低い数字ではない。
ちなみに、 11月出産予定の東尾理子(36才)が公表したのは、「クアトロテスト」と呼ばれるもの。やはり血液検査の一種だが、これは羊水検査の前段階で行われる「スクリーニング検査」にすぎず、胎児がダウン症であるかどうかを確率で示すだけで、東尾の場合はそれが「82分の1」だった。
その点、今回の「新型」は簡単な採血だけで99%、胎児の染色体異常を約1週間後には確定でき、検査も妊娠10週からと、羊水検査(14週~)より早期に受けられる。費用は20万円前後かかるが、母体への負担の点では「画期的で夢のような検査」(某国立病院医師)と評価する声も多い。
※女性セブン2012年9月27日号