どんなに“効く”といわれるメソッドが世を賑わせようとも、ダイエットに挫折はつきものである。そんな中、悩める人たちの願いを叶えてくれるとブームになっているのが「糖質制限ダイエット」だ。
具体的には、主食であるごはんやパン、麺類など糖質の多いものを制限するだけで、肉や魚など糖質が少ないものは普通に食べてもいい。摂取カロリーを制限する食事方法に比べて食べる満足感が高いことから、長期間継続しやすい方法として注目を浴びている。
それがダイエットにも効果的なのはどういう理由からなのか。「糖質制限食」の提唱者で、京都・高雄病院理事長の江部康二氏が解説する。
「糖質をたくさん含む食事をすると血糖値が上がり、インスリンが多量に分泌されます。エネルギーとして使われなかった血糖は、このインスリンによって脂肪に変えられて蓄積されます。糖質制限食では、糖質の摂取が少ないため、インスリンはほとんど分泌されませんし、脂肪に変換される余剰の血糖もありません。
それと同時に、エネルギー源として糖ではなく体内に蓄えられている体脂肪を使うようになるため、無駄な体脂肪が減っていき、結果として体重が減るのです」
『酒飲みダイエット』(プレジデント社)の監修者で管理栄養士の大柳珠美さんに、都内の居酒屋に同行してもらい、糖質量をチェックしてもらった。
まずは酒。まだまだ残暑が厳しいだけに、ついビールを注文したくなるが、「ビールはダメ」と大柳さん。
「ビールや日本酒、マッコリなどには糖質が多く含まれています。一方、蒸留酒には糖質が含まれないので、焼酎やウィスキーはOK。ワインもブドウ糖を含まず、果糖だけなので大丈夫ですが、摂りすぎはダメ。とくに安いワインでは、味にコクを加えるために糖類を添加している場合があります」
100グラム中の糖質量で比較すると、ビール3.1グラム、日本酒4.5グラムに対し、焼酎やウィスキーは0グラム。ワインは赤が1.5グラム、白2.0グラムで、辛口のものほど糖質が少ないそうだ。ちなみに梅酒は20.7グラムもあるので絶対NGである。では、つまみはどうか。
「枝豆や冷や奴などの大豆製品はOKですが、揚げ出し豆腐などは衣がつくので控えめに。野菜は色で見分けるとわかりやすく、緑の濃い野菜は糖質が少なく、ニンジン、カボチャなど温かい色の野菜、ゴボウやレンコンなどの根菜は糖質が多い。キャベツやタマネギなども、少量ならいいですが、食べすぎは要注意です」(大柳さん)
嬉しいのが魚介類や肉で、満足いくまで食べても問題はない。糖質量は100グラムにつき、牛肉0.1~0.6グラム、豚肉が0.1~0.3グラム、鶏肉はほとんどが0グラムだ。ただし、ソースやタレには糖質が含まれているので、肉ならシンプルな塩コショウのステーキ、焼き鳥なら塩、魚は刺身や塩焼きを選びたい。
もちろん、仕上げにおにぎりやお茶漬け(ご飯は茶碗1杯で55.2グラム)、ラーメン(中華麺1玉は62.1グラム)などを食べるのは、もってのほかである。
※週刊ポスト2012年9月28日号