最近はテレビ番組でもオネエが花ざかり。彼ら(彼女たち?)が出ていない番組を探すほうが難しいほどだが、この状況を“尾木ママ”こと教育評論家の尾木直樹氏はどう見ているのか? 尾木氏に聞いてみた。
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おネエについて聞きたい? あらまァ。ボク、本物じゃないのよ。しゃべり方だけよ。あるバラエティ番組に出演したとき、リラックスしていつも家族と話している口調を出したら、おネエキャラが定着しちゃったみたいなのね。
講演会では、聴衆の3割ぐらいは勘違いしているわ。そういう方には「ごめんネェ、本物のおネエじゃないの」とちゃんと謝っているのよ。でも、不思議なことに、「おネエ口調」でしゃべったほうが言葉が人の心に届くんです。
ホント、驚きだったわ。聞く側が自然と心を許しちゃうのよね。講演でもおネエ口調で話したほうが、みなさんの理解が早いんですよ。だから野田総理も国民に何か伝えたいことがあるのなら、おネエ口調でしゃべってみればいいじゃない。総理もおネエになるべきよ!
おネエって、本物の女性ではない分、本物以上に安心感を与える存在なんです。男だけど女性性を放っているから、老若男女を問わず警戒されない。加えて、毒舌を吐いても、嫌味にならないでしょ。
毒舌というストレートな物言いは、男性性特有の攻撃性や論理性を含んだものだけど、おネエ言葉にすることで薄めることができる。でも、本当は男だから力強く頼れる存在でもある。男と女の世界を往来できる“治外法権”を持つ存在じゃないかしら。
※週刊ポスト2012年9月21・28日号