いまだ残暑厳しく、「お風呂はシャワーだけ」で済ませている人も多いのでは? でも、それが続くと疲れがとれなかったり、何となく肌の調子が悪かったり…。それが、お風呂に入るだけで、アンチエイジングになるとしたら?
慶應義塾大、熊本大、再春館製薬所などの共同研究チームは8月、「マウスを42℃のお湯に5分間浸けると、紫外線によるしわを予防できた」という研究結果を発表した。その成果は、イタリアで9月19日から開催される欧州研究皮膚科学会でも発表される。研究責任者である慶應義塾大学薬学部教授の水島徹さんがこう解説する。
「夏に冷房の効いた涼しい部屋にずっといると調子が悪くなるのに、熱いお風呂に入ると疲れがとれる。また、蒸しタオルで顔を温めると化粧ノリがよくなる…こんな経験はありませんか。このように、“熱”や運動など、軽いストレス(刺激)が体や肌によいことは古くから知られていましたが、その理由は謎でした。しかし最近、これがヒートショックプロテイン(HSP)というたんぱく質のおかげであることを発見したのです」
水島さんらが行った実験では、マウスの皮膚を42℃の湯に5分間浸けると、マウスの細胞内にあるHSPが増えることがわかった。さらに、マウスを37℃と42℃の湯に浸けた後に紫外線を当てるという実験を10週間続けた結果、37℃の湯に5分間浸けたマウスはしわがくっきりと刻まれたが、42℃の湯に浸けたマウスにはしわがほとんどできなかった。これが42℃で増えたHSPの働きによるものなのだ。
「この実験結果は人間にも当てはまると考えられます。HSPは人間がストレスから身を守るためにもともと持っているたんぱく質で、高温などのストレスを受けると体内で増加し体をストレスから守ってくれます。皮膚においても、HSPは紫外線ダメージを防ぎ、傷ついた細胞やDNAを修復させていることを私たちは発見しました」(水島さん)
つまり、“42℃のストレス”で増加するHSPが、肌を紫外線から守り、シミ、しわを撃退してくれるのだ。
※女性セブン2012年9月27日号