世代間格差をめぐる論争の根源にして最大のテーマが年金だ。若い世代は「払い損」、高齢世代は「もらい得」とされるが、実際にどれくらいの差があるのか。「年金博士」として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏が試算した。
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「2013年問題」が間近に迫っている。徐々に引き上げられている年金の受給開始年齢が、来年の4月2日以降に60歳になる世代から、いよいよ「60歳では年金がもらえない」――つまり、定年退職してから受給開始まで収入がゼロになる「空白期間」ができてしまう。この空白期間は世代が若くなるごとに長くなり、現在51歳以下の世代は65歳まで年金がもらえない「空白の5年間」が生まれることになる。
年金は、若い世代になればなるほど「支払う保険料は多く」「受給額は少なく」なる。
サラリーマンの場合、月給に「保険料率」をかけた金額を「厚生年金保険料」として天引きされている。保険料率は2004年9月までは13.58%だったが、毎年0.354%ずつアップし、現在は16.412%、2017年には18.3%になることが決まっている。過去に遡れば1960年代は3.5~6.2%、1970年代は6.2~9.1%と低かったから、若い世代ほど負担が重いことは事実だ。
平均的なサラリーマン(現役時代の平均月給35万円)のケースで、「現在70歳の世代」では支払う保険料が1755万円なのに対し、受給額は3339万円。差し引き1584万円の“黒字”となる。
「現在20歳の世代」では、支払う保険料は現在70歳の世代よりも1160万円も多くなる一方で、受給額は2452万円。463万円の“赤字”だ。実に、現在70歳の世代と2000万円以上の差がある。現在50歳の世代が“損益分岐点”になる。
※SAPIO2012年9月19日号