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「地震脳卒中」の危険度チェックリストを東北大教授らが紹介

 東日本大震災の影響によって、脳卒中などの心血管疾患が急増した――との調査結果を発表したのは、東北大学大学院医学系研究科(循環器内科)の下川宏明教授。

 その理由としては、ひとつには強いストレスによって血液が固まりやすくなって血栓ができやすくなったこと、もうひとつには心房細動などの不整脈がストレスによって増えるからだと考えられるという。

 だが、地震の影響によってストレスを受けているのは、被災地の人にかぎらない。災害時こころの情報支援センター室長で精神科医の渡路子氏の話。

「昨年の震災では、不眠や先が見えないことからくる不安感、緊張感、イライラ感、ピリピリ感などをかなり多くの方が訴えていました。いまなお小さな物音に反応したり、地震という言葉を聞いただけで不安で落ち着かなくなってしまう人もいる。また、その真逆の反応として、どんなことにも興味を示さなくなり、まるで無反応状態になってしまう人もいます」

 こうした震災ストレスをより強めているのが、首都圏直下型地震や南海トラフ地震への不安である。

 とくに南海トラフ地震に関しては、「死者が最大32万人に達する」「高さ16メートルの津波が襲う」といった想像を絶する規模の被害が想定され、ショックを受けた人も多いだろう。逆に、渡氏が後者として挙げたように、被害想定が大きすぎて感覚が麻痺し、何も感じないという人もいるかもしれない。

 誰もが少なからず受けている震災ストレス。「地震脳卒中」で倒れないために、下川教授ほか専門家にリスク度を聞いた。

○震災のニュース映像が流れると、自分が揺れているような錯覚に陥る。
○街を歩いていて、大きな車が走って道が揺れただけで恐怖を感じる。
○道を歩いていると、地面が沈む感覚にさいなまれる。
○高いビルを見上げると、揺れていると感じてしまう。
○本当は揺れていないのに、夜中に揺れを感じて飛び起きてしまう。
○海や川を見ると、津波が襲ってくるように感じ、近くに行きたくない。
○夜が怖くなり、眠れず睡眠不足に。
○精神的肉体的ストレスから、体重が2kg以上増減してしまった。
○外出したくなくなり、自宅にこもりきりになった結果、運動不足に。
○震度1の揺れでも、外に飛び出してしまう。
○地震の報道がある度に引っ越しを考えるようになった。
○自分で料理をつくることがなくなり、出来合いのものばかり食べ、塩分過多に。
○冗談をいったり、笑うことが少なくなった。

 これらの項目にひとつでも思い当たる節があるようなら、気づかないうちにストレスをため込んでいる可能性があるので要注意だ。では、こういった「地震脳卒中」にならないためにはどうすればいいのか。

「散歩や体操をしたり友人や家族と会話し笑いあうなど、日常生活のなかでストレスを軽減していくことが非常に大切です。日頃から適度な水分摂取を心がけること、薬剤を確保しておくこと、保存食として塩分の少ないものを用意しておくことなども必要でしょう」(下川教授)

 さらに自治医科大学循環器内科の苅尾七臣教授も、規則正しい生活や健康管理の大切さを強調する。

「6時間以上の良質な睡眠をとること。1日20分以上歩くなど、適度な運動を取り入れること。さらに塩分摂取を控え、カリウムの多い食事を心がけること。緑黄色野菜や果物、海藻類を1日3種類以上摂れば理想的です」

 地震への恐怖は誰もが感じること。だからこそ、いまからリスクを軽減しておきたい。

※週刊ポスト2012年9月21・28日号

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