9月17日は敬老の日。「きんは100シャア、ぎんは100シャア」で日本中を沸かせた、蟹江ぎんさんの4人の娘たちも、平均年齢93才で、母親譲りの長寿となっている。そんな4姉妹たちは、敬老の日にあたって、母親が遺した「ぎん言」に、思いを新たにすることになった。
美根代さん(五女・89才):「老人の私が言うのはおかしいけど、年をとればとるほど、“老人よ、甘えるな!”の気概を忘れちゃいかん。母の生き方は、そのことを私たちに教えたんだと思うよ」
ふたりで暮らす年子さん(長女・98才)と千多代さん(三女・94才)の場合は──。
千多代さん:「私は、風呂はね、42℃ぐらいの熱い湯じゃないと駄目でね。それだで私が先に入って、そのあと、あんねぇ(年子さんのこと)がぬるくして入る。それであんねぇが、風呂から上がる前にね、タワシで浴槽をごしごし掃除するっちゅうのが、いつの間にかルールになった」
年子さん:「風呂から上がる前に洗うほうが手間がかからんがね。あとでやろうと思うと、面倒でいかんが」
千多代さん:「もうじき100シャアのあんねぇが、スッポンポンで風呂を磨いとる。ほんと、ええ光景だよ(笑い)」
そして、4姉妹がこぞって繰り出すのが、食料品の買い出しだ。実家の蟹江家から、車で10分ほどのところにあるスーパー。ここへ週に1回、美根代さんが運転するワゴン車に乗ってやってくる。取材に訪れた日、買い出しへ同行した。
年子さんが押すカートが、滑るように動き出し、止まったのが、肉類やお総菜の売り場。お肉が大好物の年子さんの目が輝いて、上等の牛肉を3パック、それに鶏の唐揚げ、メンチカツ、コロッケをお買い上げ。
「ひゃあっ、そんなに買うたら予算オーバーだが」
顔をしかめる千多代さんをよそ目に、年子さんはニコニコ顔。驚いたのは姉妹たちの頭の回転のいいことだった。この日、買い求める食材は、すべて頭の中にインプットされていて、メモを見ることなどない。それに頭の中で買い物の合計額を、おおよそ計算していることだった。
※女性セブン2012年9月27日号