バブルが崩壊し、長く暗いデフレ不況に突入して20年。日本が世界第2位の経済大国の地位から転げ落ちるこの坂道はどこまで続くのか。英『エコノミスト』誌が予測した『2050年の世界』(文藝春秋刊)は、日本人にとっては見るに堪えないものかも知れない。
超々高齢化社会は「経済大国・日本」を崩壊させる。
一般に、国家の経済活動は労働人口の割合の大きさに比例する。日本は1970年代後半から1980年代にかけて、団塊の世代が働き盛りを迎え、ジャパン・アズ・ナンバーワンと呼ばれる経済繁栄の時代を迎えた。そのような人口構成上のメリットを同書では「人口の配当」と呼ぶ。
〈しかし、かつての黄金世代が銀髪になって引退を迎えると、配当は負債に変わる。(中略)今後40年間に、このような世代交代は大きな経済的影響を及ぼすだろう〉(『2050年の世界』より抜粋)
その結果、日本の経済の没落は目を覆わんばかりだ。
2010年に世界経済全体の5.8%を占めていたGDP(国内総生産)は、30年には3.4%に低下すると見込まれ、2050年にはたった1.9%にまで落ち込むとされる。これは、現在の韓国程度のポジションだ。アジアの発展途上国の経済成長率は5%程度で推移すると見られるが、日本は0.9~1.0%で、世界経済の発展から大きく取り残されてしまう。
2010年の日本人1人当たりのGDPを100とすると、2050年には81.2まで下がる。同じく韓国の場合を見てみると2010年は87.9と日本よりも低いのだが、2050年は146.2と逆転され、一気に日本の倍近くにまで差が開いてしまうという。
経済評論家の森永卓郎氏がいう。
「日本は対外的な資産が負債を上回る債権国なので、すぐにギリシャのようにデフォルト(債務不履行)を起こすということは考えにくい。ただし、国民には年を経るごとにジワジワと重税が課されることになる。現在の日本の失業率は4%台前半ですが、このままジリ貧ならば2050年には倍ぐらいの数字になっているかもしれない。というのも、日本の製造業は円高など様々な要因で壊滅して、産業は介護ぐらいしか残らない可能性が高いからです。
だが、いくら介護事業の裾野が広がっても、海外から原材料を輸入して、加工・製造して海外に売るという商売が成り立たなくなるので、海外からお金が入ってこない。生活の水準はどんどん下がっていき、一部の既得権益層だけが豊かで、他の圧倒的多数の庶民は貧しくなるという、今の北朝鮮のような社会になると想像されます」
※週刊ポスト2012年9月21・28日号