国際情報

元特派員 韓国酒場で竹島理由に絡まれるも店のオヤジが撃退

 緊張関係が続く日韓関係の裏側でなにが起きているのか。共同通信前ソウル特派員で「オーディション社会 韓国」(新潮新書)の著者である佐藤大介氏に「近くて知らなかった韓国」の内情について聞いた。(聞き手=ノンフィクション・ライター神田憲行)

 * * *
――現在の緊張状態を韓国の一般市民はどう感じているのでしょうか。

佐藤:韓国旅行を取りやめたり、実際に私にも「ソウルに旅行しても大丈夫か」という問い合わせをしてくる人がいるのですが、反日一色という状況には全くなっていません。李明博大統領の行動に疑問を持っている人も多いし、日本という「国」に対してライバル心はあっても、日本「人」には拒否感はないですよ。

――そうなんですか!?

佐藤:それぐらい日本と韓国の民間交流は成熟しているんですよ。韓国の日本大使館前でいつも「独島(竹島の韓国名)は我々のもの」というプラカードを掲げている名物のおっちゃんがいるんですが、東日本大震災直後、「独島(竹島の韓国名)は我々のもの でも日本は頑張れ」となってました(笑)。繁華街の明洞に日本を応援する日本語のポスターもありました。私個人の体験でも、居酒屋で酔っぱらいに「独島は俺たちの領土だ」と絡まれたときも、店のオヤジが激怒して酔っぱらいをつまみ出しました。

 ある牧師が「東日本大震災は天罰」と発言したときは国内から大きな批判が寄せられ、たまたま私が乗ったタクシーの運転手さんからは「韓国人の総意ではない。すまない」と謝られたりしたこともあります。阪神大震災のときと比べて、明らかに日韓関係は進化してきた。しかし政治がそのレベルまで到達していなかった。そのモロさがいま出てしまったと感じます。

――佐藤さんの本を読み、お話を聞いていて、日本も韓国も近いのに知らないことが多いと思いました。

佐藤:なまじ近いからわかったような気持ちになっているから、ちょっと違う点が大きく見える。「もともと違う」という前提にたって相手を見れば、よく理解が深まると思うんですよ。新大久保で在日の方たちは出て行けというデモがありましたが、非常にナンセンスで、いま必要なのは対話を重ねることです。

――新聞などのメディアでは「大統領の竹島上陸」は大きく報道しても、たとえば先ほどの佐藤さんのタクシーの体験のような記事は読んだことがありません。

佐藤:(頷いて)我々メディアがどれだけ自分の言葉で語ってきたかというと、疑問です。その反省を踏まえつつ、私はこれからも日韓関係の報道をしていきたいと思っています。

※プロフィール
佐藤大介(さとう・だいすけ)1972年北海道生まれ。2002年共同通信社入社、2007年韓国・延世大学に社会留学、2009年3月から2011年末までソウル特派員。


関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン