直木賞作家である志茂田景樹氏を父に持つ下田大気さん(36)。1994年、高校時代に矢沢永吉主演のドラマ『アリよさらば』(TBS系)で俳優デビューを飾ったものの、その後は芽が出ず、職を転々とし、2009年からタクシー運転手になった。
タクシー業界では、年収400万円程度が平均的といわれるが、下田さんは年収800万円を稼ぐカリスマドライバーとなり、このたび自著・『タクシーほど気楽な商売はない!』を上梓した。不況の影響を受けやすいタクシー業界で成功した秘訣を、下田さんはこう分析する。
「タクシー運転手は、手っ取り早く稼ぐため、どうしても長距離乗車のお客さんを狙いがちですが、実際はなかなか出会いません。いかに、初乗り料金710円をコツコツ積み重ねられるかにかかっていると思います」
なかには、ワンメーターだと露骨に嫌な顔をする運転手もいるため、初乗りの乗客だろうと変わらず接してくれる運転手に出会うとお客もありがたく感じるはずだ。下田さんは、過去の苦い経験からこのような考え方に至っている。
「芸能界を辞めた後、実業家に転身したのですが、一瞬成功しただけで、24歳で2300万円もの借金をしてしまったのです。結局、会社をたたみ、自己破産の手続きにも入りました。一攫千金を狙うのは夢がありますが、まずは地道にひとつひとつの仕事に真摯に取り組むことの大事さを学びましたね」(同前)
9月23日(日曜)には、出版元である東京・光文社で、父・志茂田景樹氏をゲストに招き、『人生を気楽に生きる』と題するトークショーも開催する。数多くの失敗を経験したからこそ、本当に大切なことがわかるようになったのかもしれない。