ライフ

ぎんさん四女(91) 猫で寂しさ紛れるも毛の掃除に追われる

「きんは100シャア、ぎんも100シャア」──そんな名セリフで日本中を沸かせた双子の100才、きんさんぎんさん。あれから20年が経ち、ぎんさんの4人の娘たちも今や平均年齢93才、母親譲りのご長寿だ。

 四女・百合子さん(91才)の暮らす築40年、木造2階建ての一戸建ては、実家の蟹江家(名古屋市)から歩いて7、8分のところにある。長女の実枝さん(66才)が大阪へと嫁ぎ、2000年、夫の銀次郎さん(享年82)が病気で亡くなってから、百合子さんはこの家でひとり暮らしだ。

 百合子さんの家を訪ねて、まず驚いたのは、玄関の上がり框(家の上がり口にある板敷き)がピッカピカに磨かれていることだった。

百合子さん「ああ、これはねぇ、毎朝な、雑巾がけしたあとで、米ぬかを入れた手のひらぐらいの大きさの木綿の布袋で磨いとるんだがね。昔な、おっかさんがやってござったんで、それを真似たわけだけど、今じゃ、もう私の癖になってしもうたがね(笑い)」

 さらにびっくりしたのは、居間も次の部屋も、そして座敷も、きちんと片付いてピカピカに磨かれていることだった。一般的にいって80才を過ぎれば、足腰が弱って、物を整理したり、掃除したりすることが億劫になりがちだ。ましてや、ひとり暮らしであれば、今さら片付けても仕方がないと、家の中は荒れた状態になってしまうことも多い。

百合子さん「やっぱしね、ひとり暮らしちゅうのは、じーっとしていると気分もしぼむでしょ。そいだで、掃除して体を動かすとね、ふさいどった気持ちもスカーッと晴れて、なんだか若返った気になるがね」

 百合子さんの家は、1階が8畳2間と6畳2間、台所と浴室、トイレ、そして2階には8畳間が3部屋もある。普段の生活では使わない2階は1週間に1度だが、1階の各部屋を百合子さんはほぼ毎日のように掃除する。

 この掃除の仕方がユニークというか、なかなかふるっている。なんと、掃除用の器具を3つフル活用して、動き回るのだ。

 まず小さな充電式のコードレスハンディークリーナーで、部屋の中の目立つ埃をさっと吸い取る。それから、より吸引力の強い掃除機で目に見えない埃やちりを吸い込んでいく。

百合子さん「初めからコードのついた大きい掃除機でかけると、目に見える埃ばかり追いかけてしまうがね。あれだけじゃ、きれいにならん。まず小回りのきく小さいので部屋をあらかたきれいにしておけば、後は掃除機を隅から隅までかけるのに集中できるがね」

 さらに仕上げには、粘着シートのローラーで、カーペットや畳の上を丹念に転がして掃除する徹底ぶりだ。

 それというのも、3年ほど前から、百合子さんは猫を飼うようになった。迷い込んできた赤茶色の毛のオス猫で、名前は“アカ”。

百合子さん「猫を飼うようになってから、夜は寂しくなくなったけど、猫の毛が散って、これは放っとけん。床掃除はね、やりだすと、もう止まらない、やめられないで大体1時間半…。汗びっしょりになることもあって、ええ運動になるよ、ハイ」

 高齢者の現況に詳しい東京都健康長寿医療センター副院長・原田和昌さんがこう指摘する。

「年を重ねるごとに、“身の回りをきれいにする”という意欲と能力が低下していきます。掃除するのが面倒で、部屋の中が汚くなるというのは、お年寄りの場合、認知症の初期によく見かけられることです。日常こまめに掃除することは、脳を刺激し、いい運動にもなり、心身ともに若返り効果が期待できると思います」

※女性セブン2012年10月4日号

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン