人気お笑いコンビ「ピース」の綾部祐二(34歳)と「若貴の母」である藤田紀子さん(65歳)との熱愛報道に象徴されるように昨今は熟女ブームである。
たとえば、アダルトビデオ(AV)業界では、今や「熟女」と名のつくDVDや写真集が売れまくっている。繁華街に目を転じれば、「熟女キャバクラ」や「熟女パブ」が乱立。驚くなかれ、熟女を冠した「風俗店」まで隆盛を極めているのである。
なぜことほど左様に熟女はモテるのか。
熟女に群がる若い男性の心理について、世間一般では「男性が弱体化し、同年代を口説けなくなったから母親のように甘えさせてくれる熟女に走っている」といった見方をよく聞く。だが、経済アナリストの森永卓郎氏は、「そんなことはない」と分析する。
「たとえばピースの綾部さんは下積み時代から一緒に番組をやっていてよく知っているが、本当にモテる。彼の場合はとにかく守備範囲が広く、あらゆる女性と付き合ってきて、さらにその上のレベルを求めて熟女に向かっている。
つまり、モテる男が、美容技術の進歩と積み重ねてきた人生の重みというハードとソフトを兼ね備えた熟女に向かっているわけで、そこを見誤ってはいけない。ましてや今後、若い世代が持ち上がり、熟女はますます増えていくでしょうから、これは一時的なブームではなく、構造変化といっていいでしょう」
一方、「これは日本に蔓延する女性側の『幼さの偽装』に対する『反動』ではないか」と指摘するのはコラムニストの小田嶋隆氏。
「AKB48をはじめアイドルを見ていると、まるで幼児のようにピョンピョン跳ねてしゃべり、未成熟であることをことさら強調しているが、その反動というのはあるかもしれない。
今や多くの女性は、女子高生までは『知らねえよ』とか男言葉を使うのに、女子大生になると『えー、わかんない』などと急に幼さを演出するようになり、女子アナに至ってはカン高い声で鳥みたいに話す。若く見せるために幼く偽装することが常態化している。文化全体がロリコンを志向しているかのようです」
そうした中、「幼く振る舞われることに辟易した男性が熟女に向かうというのも頷けなくはない」(小田嶋氏)という。
※SAPIO2012年10月3・10日号