日本でもブレイク中。肉と相性のよい「マテ茶」
今年3月に発売された清涼飲料水「太陽のマテ茶」が好調だ。販売元の日本コカ・コーラ社によると、発売2カ月で販売計画を大幅に上回る4000万本(500mlペットボトル換算)という記録を達成。発売前はわずか20%だったというマテ茶の認知度は、発売後50%に達した。コーヒー、お茶に次ぐ、世界三大飲料のひとつであるマテ茶が、日本に定着しつつある。
そもそもマテ茶は、南米のブラジル、アルゼンチン、パラグアイの3国のみで栽培され、南米中で日常的に愛飲されている飲み物だ。FCバルセロナでプレーするアルゼンチン出身のリオネル・メッシ選手は、ベンチでマテ茶を飲む姿をたびたび目撃されている。また、日本マテ茶協会によると、南米のサッカーチームが来日すると、いつも大使館からマテ茶の差し入れを頼まれるという。
世界的なサッカー選手も愛飲する理由の一つは、高い栄養価にある。カルシウムやマグネシウムといったミネラル分が他の茶飲料より豊富で、抗酸化力があるポリフェノールや食物繊維の含有量も多い。野菜の少ない南米で、マテ茶が“飲むサラダ”と言われるゆえんだ。南米の牛肉の消費量は、日本人の約4~6倍にもかかわらず、同様に消費量の多い米国に比べると、肥満率や生活習慣病の発生率は高くない。その要因の一つにも、このマテ茶の存在がある。
美容効果も高いことから欧米のセレブたちにも人気で、健康マニアとしても有名な歌手・マドンナは、契約農園で自分用に栽培したマテ茶を愛飲するほど。日本でも、モデルの道端ジェシカや熊田曜子など、美に敏感な“肉食女子”には飲まれていたが、「太陽のマテ茶」の発売で人気が広がったようだ。アルゼンチンで無農薬栽培された茶葉を使用したアトリーのディーバッグや、グリーンとブラック味、2種類を楽しめる日本緑茶センターのティーバッグなど、ラインナップも充実しつつある。
日本でのブレイクについて、日本マテ茶協会の北島勇会長はこう話す。
「日本人にとって、茶といえば癒し、ゆったりと味わう“静”の飲み物でした。それに対してマテ茶は、元気やエネルギーをもたらす、いわば“動”の飲み物なのです」。
その言葉通り、「太陽のマテ茶」発売に際して日本コカ・コーラが打ち出したコンセプトは、食や遊びを前向きに楽しむ南米のライフスタイルを表現した「タベル、アソブ、マテ茶」。栄養価とともに、エネルギッシュなイメージも消費者の心を掴んだという。パワー不足のとき、攻めたいときの手軽な活力源として、マテ茶人気は続きそうだ。