自民党の総裁選で、舌禍で失速する石原伸晃氏、政権放り出しという十字架を背負っての苦しい闘いを強いられる安倍晋三氏を横目に、着々と党員の支持を広げている石破茂氏。遊説やテレビ討論会などでは、独特の喋り口と目つきにも何となく自信が満ち溢れているように見えるが、“自信の源”はこんなところにもあった。
全国紙政治部記者が語る。
「石破氏の後見人といわれる笹川堯・前衆院議員が、“勝利の女神が来てくれた。石破は勝てるような気がしてきた”と大喜びしていたんです」
気になる女神様の名前は……、何と「小池百合子」と「片山さつき」。小池氏は石破氏の決起集会で弁士を務め、片山氏は推薦人に名を連ねた。
「彼女らには勝ち馬を見抜く眼力がある。その2人が支持してくれたというのは良い風向きだ」
そう笹川氏は上機嫌で語ったのだという。
「マダム回転寿司」の異名をとる小池氏は、細川護熙氏、小沢一郎氏、小泉純一郎氏ら時の権力者を見抜き、政権中枢のポジションを得てきた“実績”を持つ。
「勝ち馬に乗るという見方もありますが、彼女はリスクも取る人。今回は、“議員人気が低い”石破を推して当選させれば、自分にも出番が回ってくるという計算もあった」(自民党関係者)
というから、なかなかの策士。決起集会では、「派閥、長老支配を超えてこの場に集まった」と演説して拍手喝采を浴びた。
一方の片山氏も小泉チルドレンとして政界入りして以降、安倍晋三氏、福田康夫氏と、総裁選では「勝ち馬」の隣で写真に収まる姿が知られ、2008年の総裁選でも“チルドレン仲間”の小池氏ではなく、麻生太郎氏に投票した。
親しい議員には、「ボクの顔では、女性票は期待できないよね」と自嘲気味に語る石破氏だが、なかなかどうしてモテ男。でも、勝ち馬を見抜くのが得意ということは、言い換えれば“落ち目になれば見限るのも早い”ということ。近くに引き留めておく努力をお忘れなきように。
※週刊ポスト2012年10月5日号