株式市場では先行き不透明な状況が続いているが、いまどんな投資戦略をとるべきか。フィスコ取締役・中村孝也氏が解説する。
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円高や世界景気の低迷に出口が見えず、株式市場も物色材料が乏しい状況が今後も続きそうで、まだしばらくは全体相場が大きく上値を追う展開は期待できそうにない。
こうした現状では、主力大型株や日経平均株価などのインデックスは鈍い動きを余儀なくされそうで、それらに投資しても短期間で大きく儲けることは難しいだろう。
長期的スパンで考えるなら、景気敏感株はほぼ底値圏にあるので、今のうちに仕込んで景気回復後の値上がり時に売れば、2~3倍の儲けは十分考えられる。とはいえ、その売り時は何年先に来るのかと問われても、“世界的に金回りがよくなるまで”としか、定かな期間は答えられないのが実情だ。
したがって、今のような環境下では、短期的には中小型株を選ぶのが得策だろう。なおかつ、テーマや業種にこだわらず、「利益成長」をキーワードに選択肢を広げて探すべきだ。なかでも、何かの特殊要因で一時的に業績が悪化したが急回復している銘柄や、しばらく業績低迷が続いたが構造改革により急回復している銘柄などの、株価のリバウンド狙いをメインの戦略とすることをお勧めしたい。
具体的なスクリーニング方法としては、「経常利益の増益率が20%超」を尺度として、直近の決算がそれを超える銘柄をピックアップする。次に、今期の業績予想で増益率の伸びに陰りがないかをみるとともに、すでに発表されている第1四半期(4~6月期)決算で利益成長の継続状況や通期業績に対する進捗率などをチェックして、著しい業績回復は本物か、今後も続くかを判断する。
ただし、マーケットはいったん業績が悪化した銘柄はなかなかすぐには再評価しない。逆にいえば、株価のリバウンドがみられれば、業績回復が市場で再評価された証しといえる。そこで、株価の上昇基調が始まっているかどうかを併せてみて、株価上昇が確認できれば買いを入れればいい。
初期波動を逃しても、第二波でも5割程度は上昇するのが常で、その時点でも遅すぎることはない。実際、業績が急回復する際には、株価が底値から4~5倍に上昇する銘柄も少なくないのである。
※マネーポスト2012年秋号