没後50年。謎多き彼女の人生に今、あらためて光が当てられている。世界中にセンセーションを巻き起こしたハリウッドの大スター、マリリン・モンロー(享年36)。ブロンドの髪に滑らかな白い肌、肉感的で湿り気を帯びた赤い唇、口元のホクロ。そして豊かな胸、くびれたウエストと形の良いヒップ…。アメリカの「セックス・シンボル」と称された彼女が、36才で謎の死をとげてから、もう半世紀がたつ。
しかし時の流れを感じさせないほどに、彼女はいまなお世界中の人々に愛され続けている。
今年に入ってからは、マリリンの恋愛秘話をミシェル・ウィリアムズ(32才)主演で再現した映画『マリリン 7日間の恋』が公開され、さらに新たな回想映画がブラッド・ピット(48才)のプロデュースで制作されることも発表されている。
彼女の魅力が色あせない理由について、作家で小説『偽りのマリリン・モンロー』(集英社)の著者、松本侑子さんはこう話す。
「彼女は“おバカな金髪女優”というイメージばかりが強調されてきました。でも、その素顔はとても賢くてナイーブ。立派な女優になるために涙ぐましい努力もしていましたが、彼女が生きていた当時は、その部分が評価されることはありませんでした。不幸な生い立ちで育って、劣等感や精神的な不安を抱え続けていた。最後には謎めいた死に方もしている。そうした複雑な心の部分が、人を惹きつけてやまないのでしょう」
そんなマリリンの内面をクローズアップしたのが、この9月に発売されたばかりの『マリリン・モンロー 魂のかけら』(青幻舎)だ。
<助けて、助けて、助けて>
<ひとりぼっち!!!!!! 私はひとりぼっち いつだって ひとりぼっち、どうしようもなく>
同書には、そんな“魂の叫び”にも似た言葉を含め、これまで公開されることのなかった彼女の直筆メモや詩・手紙100点あまりが収録されている。
これらはマリリンに演技を教え、最後まで彼女のよき理解者であった演出家、リー・ストラスバーグに渡った未整理の大量の遺品の中から発見されたものだ。同書はフランスやアメリカなどで一昨年に出版され、15か国で計100万部のベストセラーになっている。翻訳にあたった、マリリンに精通する作家の井上篤夫さんが言う。
「これまで知られていた彼女の言葉は他人の目やメディアを意識したものが多く、本当の生の声は伝えられていませんでした。今回初公開されたメモなどからは、彼女の心の揺れや、最後までもがき苦しみながらも生に執着してきたことなども読み取れます」
※女性セブン2012年10月4日号