東南アジア諸国がいまホットだ。大前研一氏は、今後、中国に代わる生産拠点になるASEAN諸国との付き合い方は、日本の未来にとって極めて重要だと指摘する。以下、氏の解説である。
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ASEAN10か国の人口は6億人を超えており、EU(欧州連合)27か国の約5億人を上回る巨大な経済圏である。しかも、国民の平均年齢がまだ20代後半で、これから成長する国が多い。そして極東アジアと違って決定的に日本と仲が悪い国はなく、親日的もしくはニュートラルだ。我が国にとって非常に好条件が揃っている。
では今後、日本はどうすべきか?
ASEANを“第二の故郷”と思って積極的に工業開発やインフラ整備に協力し、自然体で粛々とビジネスを展開すればよいと思う。
たとえば、マレー鉄道のクアラルンプール~シンガポール間の新幹線化や、ジャカルタ、スラバヤまでの鉄道延伸を手伝う。あるいは、福島第一原発事故の教訓を生かしてより安全性を高めた原子炉を輸出し、エネルギー政策に協力する。
その時に日本が“上から目線”で大きな顔をしたり、中国と覇権を争ってみっともない外交圧力を加えたりしなければ、おのずとASEAN諸国の日本に対する親近感は増し、日本をアジアのリーダーとみなすようになるだろう。
※SAPIO2012年10月3・10日号