高齢化社会となった日本では、全国で約530万人が介護認定を受け、認知症の人は推計約305万人にのぼるという。となれば、介護施設が必要になってくるが、かなり切ないケースも出ている。ここでは3つのケースを見てみよう。
【ムッとするにおいが漂い古い処置が…】
「ひどい施設は、においでわかります。入所者はベッドの上にただ寝かされているから、じょくそう(床ずれ)ができるし、口腔ケアもない。傷口、体臭、口臭、そして尿や便のにおいが入り混じって、ムッとします。
そういう施設はじょくそうが当たり前なんです。今やもう消毒せずにラップで傷口を包む方法が早く治るといわれてきてもいるんですが…、消毒薬を大量に積んだ回診ワゴンがベッドサイドをガタガタと回り…背筋が凍る思いがしました」(看護師)
【はだか車イスで入浴待ち。15人の大行列】
「研修の一環で見学する特養に着いたとき、玄関から、はだかで車イスに乗っている人が見えたんです。あれ? と思いながら近づいていくと、下半身にバスタオル一枚をぺらっとかけただけで車イスに座った男性が、ずらーっと15人くらい浴場まで並ばせられていました。
施設側から『週2回の入浴は大変です』と説明を受けたのですが、ベルトコンベア状態なのをケアだと思っているのか…。こんなふうに並ばせているのを恥ずかしいとも思わず、研修を受け入れる施設って一体…」(介護職)
【鍵をかけて閉じ込めたら症状悪化するはず】
「ヘルパーとして訪問している人の認知症が進んだとき、ご家族からグループホームの見学に同行してほしいと頼まれました。新しい施設なので期待していましたが、全個室の外から鍵がかかるようになっているんです。そうやって閉じ込めると、認知症の人はわけがわからず不安になって症状が悪化するというのが、在宅介護では常識なんですが」(ヘルパー)
※女性セブン2012年10月11日号