ついに日中国交正常化40周年記念式典が中止になる事態に発展した──。
デモ隊は「釣魚島(尖閣諸島)は我が領土」「日本人を抹殺せよ」などと叫びながら、日系企業が経営するスーパーや工場を次から次へと襲撃。次期最高指導者になることが確実な習近平国家副主席は、そうした自国民の野蛮な振る舞いを謝罪もせず、日本政府による尖閣諸島の国有化を、「茶番だ」と強く批判した。
中国で「国辱日」とも呼ばれる9月18日──日本が中国東北部に兵を進めるきっかけとなった満州事変(1931年)勃発の日を頂点とした一連のデモには、中国80以上の都市で過去最大の10万人超が参加したとされる。現在、中国に住む日本人は約14万人。彼らは「これまでのデモ」とは違う緊迫感と生命の危険を感じていた。北京在住1年半の広告代理店駐在員の妻(37才)が語る。
「デモが激しい間は一歩も外に出なかったので、危険な目には遭いませんでしたが、不安で仕方なかったです。19日に4日ぶりに外に出たときも、日系スーパーではなく、欧米系のスーパーに行きました。化粧をしたり、こじゃれた格好をすると日本人に見えると思い、パーカにジーンズ姿で、わざと髪の毛をぼさぼさにしました。デモが収まったといっても、いつ襲われるかわかりません。今週末に日本に一時帰国することにしました」
北京在住のフリーライター・小林さゆりさんも言う。
「知らない中国人とはすれ違うのも怖くて、特に路線バスに乗っているときは逃げ場がないので、絶対に日本人だとバレないようにしなきゃと、緊張しています」
休業に追い込まれた企業の多くは再開し、平穏を取り戻しつつあるが、現地の日本人は一様に「またいつあんなデモが起きるかわからない」と、不安を募らせている。
※女性セブン2012年10月11日号