がんに続き、日本人の3大死因である心疾患と脳血管疾患。これらは実は「血液」や「血管」の病気であるという。抗加齢医学を専門とする東京シナジークリニック院長の森田祐二さんは“血液ドロドロ”の危険性をこう語る。
「日本人の死因に多い心筋梗塞や脳血管疾患は、臓器そのものが悪いのではなく、そこへ酸素や栄養分を運ぶ血液がドロドロで滞ったり、血管が老化して硬くなることで発症します。皮膚や髪の老化をはじめ、最近の研究では認知症や網膜症による失明なども、血液・血管の健康がかかわっていることがわかっています。
血液のドロドロは脂質異常や高血糖、肥満などが原因。また動脈硬化は血糖値が上がることで進む、今話題の“糖化”や、活性酸素による“酸化”の影響で起こります。いずれも老化現象ではありますが、食事などの生活習慣による影響が大きく、これらを改善することで効果的なアンチエイジングになり、体全体の美と健康が保てるのです」
では、血液と血管を健康に保つにはどうしたらよいのか。森田さんに有効な3つの方法を教えてもらった(「」は森田さん)。
【1】昔ながらの伝統的和食「お・さ・か・な・す・き・や・ね」がよい
「代表的なのが緑茶のカテキン、青魚のDHAやEPA、海藻のアルギン酸、納豆のナットウキナーゼ、酢の酢酸やクエン酸、きのこのβグルカン、野菜の食物繊維やビタミン、ねぎのアリシン。これらの食材を覚えやすく、お(お茶)・さ(魚)・か(海藻)・な(納豆)・す(酢)・き(きのこ)・や(野菜)・ね(ねぎ)と呼んでいます」
【2】まずは野菜、それから脂――食べる順番を意識する
「急いで食べたり、初めにご飯などの炭水化物や脂っこい料理から食べると、一気に血糖値が上がって中性脂肪がつきやすくなり、血液ドロドロや動脈硬化を進めることに。最初に野菜や海藻などを食べて胃に食物繊維を入れてから、ゆっくり食べるのがおすすめです。水分をこまめに1日1リットル以上摂り、塩分は控えめにすることも大切です」
【3】鍛えるべきは「足」
「特にふくらはぎに筋肉がつくことで、静脈のポンプ機能が強化されて全身の血流がよくなり、若さを保つ成長ホルモンなどもたくさん生産されます。よく歩き、気づいたときにつま先立ちなどで足の筋肉を使うことを心がけましょう」
とはいえ、つい早食いになったり栄養バランスを気遣えなかったりするほど忙しいのが中高年世代。欠かしたくない栄養素はサプリメントなどで補いたい。たとえば、血液をサラサラにしてくれるナットウキナーゼも、小林製薬などからサプリメントで市販されている(『ナットウキナーゼ DHA EPA』)。サプリメントの利点について、日本ナットウキナーゼ協会の広報、原弘之さんはこう語る。
「納豆に含まれているナットウキナーゼという成分は、血管を詰まらせる血のかたまり“血栓”に直接働きかけ、溶かす効果があります。また最近の研究では血栓を溶けにくくする物質を抑える機能や血圧降下作用、血流改善作用なども検証されています。
ナットウキナーゼは納豆を混ぜたときに出るネバネバの中に含まれていますが、実は納豆には、血液を固めるビタミンK2という全く逆の働きの成分も含まれていて、医療機関で血栓症を治療する場合には、納豆の摂取制限をされることもあります。その点、ナットウキナーゼのサプリメントは、血栓溶解のよさだけを取り入れることができます。また、生ものの納豆とは違い、サプリメントの成分活性は約2年。必要に応じていつでも摂取できるのが、サプリメントならではの利点ですね」