尖閣諸島の領有権をめぐって、中国ではテロにも等しい反日暴動を起こすなど、大きな外交問題となっているが、中国はデモを積極的に煽っていた節もあるという。
拓殖大学客員教授の石平(せきへい)さんの指摘だ。
「今回は『日本の尖閣諸島の国有化は中国に対する侵略だ』として、当局が国民に『日本を許すな』というメッセージを発信していた。次期最高指導者の習近平氏ら指導部からも『待った』をかける発言がなかったため、デモが過激化してしまった」
また、『中国人の世界乗っ取り計画』(産経新聞出版)の著者で中国問題に詳しいジャーナリスト・河添恵子さんも、今回のデモは“官製”だったと指摘した。
「日本のテレビ番組などでは『中国の国民が怒っている』などと指摘する人も多かったようですが、あれは上司の命令で、お弁当やペットボトルの水を支給されて、デモに参加させられた警察や公安関係の若者です。一般市民の参加者もいたでしょうが、コアになっているのはそういった人々。ですから『デモが収束した』というのもおかしくて、共産党が『収束させた』というのが正しい」
実際、日系旅行代理店に勤める中国在住の日本人女性(51才)はこう語るのだ。
「大使館前では公安が用意したスピーカーが木にくくりつけられ、『釣魚島は我が国のものだ』という原稿を読み上げるのは、よく知る公安局の女性の声でした」
間違った歴史教育を受け、正しい情報も手に入れられず、自分がやったデモがどんな影響を与えるかも考えずに政府に踊らされている中国の人民は哀れでさえある。
というのも、デモ隊が破壊した日系企業の工場やスーパー。日本が被害をこうむったのはもちろんだが、実は中国側の被害はそれ以上だと言うのは東海大学海洋学部教授で、東京都の尖閣諸島担当として尖閣諸島の調査にも参加した山田吉彦さんだ。
「略奪されたスーパーで働いているのも中国人。焼き討ちにあった工場で働いているのも中国人。日本への輸出が滞れば、職を失うのは中国人です。中国人は自分で自分の首を締めたことになる」
※女性セブン2012年10月11日号