業界関係者から「親が入院し、退院を迫られて、慌てて有料老人ホームを探す人が多い」の声もある介護施設の問題。気づいたら地獄だった、では遅い。天国への道を切り拓くには――。
「子育てならいつかは手が離れます。しかし、高齢者介護は、時間とともに重度化し『先の見えないトンネル』などともいわれます。追い詰められた気持ちになりやすいのです」
千葉県松戸市にあるデイサービス「ひぐらしのいえ」代表の安西順子さんは、切羽詰まった家族から相談を受けることもある。つらいときは地域の高齢者施設のデイサービスやショートステイを利用することで、本人と介護者の関係性に余裕ができると話す。
「夫や友人に愚痴のひとつでもこぼせればいいのですが、周囲に何も言わない、言えない人は注意が必要です。突然キレたり、手をあげたりしないためにも、役所や地域包括支援センターに相談して介護保険制度の利用など、周囲の助けを借りましょう」
医師から認知症との診断を受ければ介護度が認定され、介護保険制度を使って低料金で施設が利用できるようになる。症状が重くならないうちに地域の施設を見学しておくと、心の準備にもなる。
「家族だけで介護すると決めた場合でも、尿や便失禁が続くようになると、施設利用も視野に入れるタイミングです。便をもらした本人は、恥ずかしさで何とか始末しようとするのですが、かえって便を体や手すりなど周囲に広げることが多い。介護者にとって大きな負担となることも」(安西さん)
周囲にサポートしてもらうタイミングのチェックポイントを3つ紹介しよう。(※取材をもとに編集部で作成)
【1】医師に認知症と診断された
認知症になると介護度がつく。
【2】火の管理に不安が出てきた
IHを導入する人も。料理に不安が出て、施設の利用や配食サービスを検討する人は多い。
【3】尿や便をもらすようになった
介護をする人にとって大きなストレスとなる失禁。困ったら相談を。
※女性セブン2012年10月11日号