全国で約530万人が介護認定を受け、認知症の人は推計約305万人にのぼる高齢社会ニッポン。「なんだかんだいっても、介護は娘、嫁、妻が負っている」(主婦・62才)、「介護のせいで派遣の仕事を辞めた」(主婦・43才)など不満が渦巻くなか、頼った施設がこの世の地獄だったという話も増えている。
絶対に間違えたくない介護施設選び。見極めポイントをお教えします。
「かつては、夜に歩き回る認知症の人は疲れさせて寝かせようと、回廊構造の建物を造り、昼間にぐるぐると歩かせたひどい施設もありました。
今は少人数で家族のように暮らす“ユニットケア”が注目されるようになりました。特に認知症の人だけが暮らす『グループホーム』の介護力は、スウェーデンなど福祉先進国に負けないものがあります」
そう話すのは、高齢者施設に詳しい福祉ジャーナリストの浅川澄一さんだ。しかし希望者誰もがグループホームに入れるわけではない。例えば東京・渋谷区にはグループホームは4軒しかない。
「自分が住んでいる市では不足しているのに、隣の市なら即入所できる場合もあります。住民票を移して入居しようという人もいますが、数か月間は入居施設を利用させないという自治体もあるので要注意」
低料金で利用できる特養は順番待ちで、数百人待ちもざら。仕方なく、老人健康保険施設やショートステイを利用してつないでいる人も多い。介護保険制度の前提は、利用者の「自己選択」「自己決定」だが、選ぶことができないことも多いのが実態だ。しかし、朗報もある。
「有料老人ホームは超高額のイメージがありました。たとえば前払金1千万円のうち300万円ほどは1日でも入居すると“返還対象外”の費用として戻らず、敷居が高い。それに対して東京都が通達を出し、今年4月からは、前払金の内訳を明示すること、返還対象外の金額を設けてはならないとしました。一部、従わない事業者もいますが、諦めていた人にも有料老人ホームが選択肢となり得ます」(浅川さん)
見学に行ったときのチェックポイントは以下のとおり。
【衛生面】
・においはひどくないか
・玄関などの造花にほこりがたまっていないか
・トイレに黒ずみはないか
【サービス内容】
・経営理念に共感できるか
地域説明会や勉強会で経営者と会う。
・現場の人は理念を共有してるか
施設長などスタッフと話をしてみる。
・ケアプランに納得できるか
「名前を伏せてケアプランを見せてください」と聞いてみる。ただし個人情報なので断られる場合もある。
・最期まで住めるか
看取りの件数や様子を聞いてみる。
※女性セブン2012年10月11日号