高校時代からの悩みだった「薄毛」
男性にとって大きな悩みのひとつに「薄毛」があるだろう。ここでは、現在32歳・薄毛歴14年という会社員男性・Aさんの切ない告白を聞いてみよう。そして、どのように対処すべきかを専門医にも聞いてみた。
現在Aさんは前方と頭頂部にまったく髪の毛がないため、スキンヘッドにしている。Aさんがハゲ始めたのは、高校3年生の18歳の時のこと。父親も薄毛だったため、「自分もハゲるんじゃないか…」という疑念はうすうす抱いていたのだという。
18歳になったころ、友達から「お前、頭皮がやばいよー」「前髪、キテるよー」と笑われることが多かったAさん。だが、当時は「まぁ、ちょっとおでこが広い程度だろう」とあまり気にしていなかったというのだ。
Aさんが本格的に薄毛を意識し始めたのは、20歳前後の大学生のころ。そのとき、バンドなどの影響で、長髪にチャレンジしていた。しかし、長い髪にすると、ところどころに肌色の隙間ができてしまう。これを見て「もしかして、自分はハゲてるんじゃないか」と初めてそのときに気付いたという。
そのとき、ようやく育毛剤などに興味を向け始め、抜け毛対策に着手する。当時は、花王の“サクセス”のような髪の毛に良いとされているシャンプー等のシリーズを購入。大学生時代の少ない小遣いでは、数千円レベルの“髪に良いもの”を買うのが精いっぱいで、1万円や2万円以上するような高額なものには手が出なかったようだ。
ただ、カツラをつけることは、「扱いが面倒くさそう」「バレたら面倒くさい」「むれそう」ということで、考えなかったという。今でこそ、「専門医に診てもらい、薬を処方してもらう」という手段があるものの、当時は「専門医」自体の存在があまり一般には知られていなかった。
【ヘアアレンジができない20代をAさん嘆く】
「その時に“病院”という選択肢があったら、挑戦していたかも…」とAさんは遠い目をして嘆く。
AGA(男性型脱毛症)治療を専門にする銀座HSクリニックの北嶋渉院長は、「薄毛のメカニズムを知っておいた方がいい」と語る。
薄毛とは、別にストレスや遺伝だけでなるものではない。
「あくまでも、男性ホルモンの“テストステロン”と毛乳頭の中に含まれた酵素の“5αリダクターゼII型”が結びつくことで、発毛を抑制するDHT(ジヒドロテストステロン)が発生するから薄毛になるんです」(北嶋氏)
DHT発生を抑えるには、“フィナステリド”の服用が必要なため、北嶋氏は専門医に行くよう勧める。Aさんに対しては、「すいません、こうしたことが日本で一般的になったのは、ここ最近のことでした……」とメッセージを送った。
さて、18歳から薄毛になったAさんは20代当時、周囲が染髪やパーマなどのさまざまな髪型を楽しんでいるなか、薄毛対策をしなければならない我が身が非常に辛かったという。オシャレがしたいお年頃にもかかわらず、全然ヘアアレンジができないのは、青春時代の黒歴史だとか。
Aさんは長髪時代を抜け出して、八分刈り程度の短髪にし、薄毛をごまかそうとしていたものの、薄毛はますます進行するばかり。そこで、もう諦めの境地に入り、現在では若干残っている髪の毛も剃り、完全なるスキンヘッドに。
女性からは正直、全然モテないという。何が問題なのかは分からないが、Aさんは「髪のせいです!」と頑なに薄毛のせいにする。そして「俺だって、もっと髪の毛ちゃんとしてたら、モテると思うんですよねー」と語った。
今後、髪の毛が生えることになったらどうするか? と聞いたところ、Aさんは「絶対にチャレンジすると思いますよ。だって、完全に人生が変わると思うから。女の子にもモテるだろうし、いろんな髪型を楽しめると思うし。そもそも、自分がモテないのは、髪の毛がないせいだと思うんです! 適切な治療法を当時知っていたら、絶対やってたし、モテたと思います!」とのこと。ちなみに彼は彼女いない歴が10年近くになり、かなり薄毛になった時と時期がかぶるという。