9月20日と21日に東京・国立競技場で開催された人気アイドルグループ・嵐のコンサート『嵐フェス(アラフェス)』。嵐による同会場でのコンサートは5年連続となっており、今回も2日間で14万人動員する大盛況ぶりであった。しかしながら、近隣住民にとっては迷惑な面もあったようだ。
国立競技場といえば、屋根などがない屋外の施設。そのため、コンサート中の音声が会場の外に漏れることもある。近隣住民の人たちによれば、その音というのは生活に支障があるほどのものではないとのことだ。しかし、それよりも迷惑なのは、チケットを持っていないにもかかわらず、漏れてくる音で少しでもコンサートを楽しもうと会場周辺に集まるファンたちだという。
国立競技場がある千駄ヶ谷周辺は、スポーツ施設が複数あることで知られているが、少し道を入れば住宅やアパレル関連の事務所などが軒を連ねている。近くで働くアパレル会社勤務の30代男性・Kさんは、次のように話した。
「去年までは確か、嵐のコンサートは土日とか休日に開かれてたと思うんです。その時はあまり気にならなかったんですけど、今回は木・金の平日でしょ。平日にこれだけ周辺に人に溜まられると、さすがに迷惑ですよ。ちょっとコンビニ行くのだって信じられないほど並ぶし」。
このような不満を漏らすのは、近隣住民も同じだ。国立競技場から歩いて3分のところに暮らすという50代の主婦・Uさんはこう話した。
「夕方に犬を連れて散歩してたら、走って移動する嵐ファンの女の人が連れてる小さい子どもとうちの犬がぶつかりそうになったんです。咄嗟にうちの犬が吠えたんですけど、そしたらその女の人が、『こんなとこ散歩しないでよ!』ってイチャモンをつけてきました。こっちはいつもの散歩コースを歩いてるだけなのに」。
Uさんはさらに、“嵐ファンの質”についても指摘する。
「嵐のファンって、子ども連れが多いイメージがあります。わたしも嵐が好きだから、コンサートをやるのは全然かまわないんですけど、朝から小さい子どもを連れて会場周辺をウロウロしているのはどうなのかなと思いますね。子どもは疲れるだろうし、雨でびっしょり濡れてる姿を見るのもかわいそう。チケットを持ってる人だけが、時間になったら会場に来ればいいと思います」。
確かに、会場周辺には小さい子どもを連れて歩く嵐ファンの姿が多く見られた。Uさんが言う“朝から”というのは、コンサート当日に会場でグッズが販売されるため、それを買うために早ければ前日深夜から並ぶ数千人のファンたちのことだ。親の趣味のために一日中振り回される子どもはさぞかし辛いだろう。
また、Uさんは上のコメントで“雨”にも触れている。記者が会場周辺の取材に訪れた21日には、突如として「ゲリラ豪雨」が襲ってきた。ファンたちがグッズを買うために並んでいる明治公園には屋根などはなく、傘やカッパを持っていないファンたちはただただ濡れるばかり。濡れることを厭わずグッズのために並ぶファンの姿には、たぎる熱意を感じられた。
国立競技場では、日々さまざまなスポーツイベントが開催されているほか、今回の嵐のようにアーティストによるコンサートも時たま行われる。今年の5月には人気バンド・L’Arc-en-Cielのコンサートが行われたばかりだが、近くで働く20代の男性は次のように話していた。
「ラルクの時は、こんな風に朝から来る人はほとんどいませんでしたね。周辺に溜まる人もいなかったし。サッカーの時と同じで、夜になって『あ、やってるんだ』って感じでした。それだけラルクのファンのマナーが良かったんでしょうね。やっぱり、平日に朝から人がわんさか来たり、チケット持ってない人まで集まるようなことはやめて欲しいです」。
このように、今回近隣住民から不満の声も出た嵐のコンサート。国立競技場は2014年から改修工事に入るが、その前年となる来年も『嵐フェス』は同会場で開催される予定だという。