安倍晋三元首相と橋下徹市長率いる大阪維新の会の急接近が話題となっている。この動きの背景に、山口県知事選で善戦した飯田哲也氏と、安倍元首相の妻・昭恵夫人の存在があると見るのはジャーナリストの須田慎一郎氏だ。以下、氏の分析である。
* * *
「実は私、知事選後に地元・山口に政治団体を立ち上げまして……」
こう言うのは7月末に実施された山口県知事選で「脱原発」を掲げて立候補し、予想外の善戦に持ち込んだ飯田哲也氏だ。橋下徹・大阪市長が大飯原発再稼働阻止に動いた際に、最有力ブレーンのひとりとして理論面での支柱となったことはよく知られる。今度は総選挙に照準を定めたのだろうか。
「とは言っても次の総選挙に出るつもりはありませんけどね」(飯田氏)
そう煙に巻く飯田氏が、ここへきて安倍晋三元首相と急速に接近しているという。「二人を結びつけたのは安倍元首相の妻、昭恵夫人です。昭恵夫人は、『これだけの大事が発生した以上、脱原発を進めるべき』というのが持論。それがきっかけで、飯田氏と接点を持つようになった」(飯田氏に近い関係者)
最近、安倍元首相と橋下市長率いる大阪維新の会の急接近が各マスコミで話題となったが、こうした動きも飯田氏─昭恵夫人というラインが少なからず影響していると見ていいだろう。
「飯田氏は、次の総選挙への出馬に意欲満々ですよ。もちろん維新の会からの立候補になるでしょう」(大阪維新の会のメンバー)
保守王国・山口で飯田氏が出馬するとすれば、1区、3区、4区は自民党議員が占めているため、空いている2区(現職は民主党・平岡秀夫氏)を狙う可能性が濃厚だ。
その場合には地元の大物政治家、安倍元首相が後ろ盾になれば非常に有利だ。そこまで具体的に話があるとすれば、安倍元首相と維新の会の連携は、相当に「本気」と言えるだろう。
※SAPIO2012年10月3・10日号