「あーほんっと男ってバカ!」。夫や恋人のとんちんかんな言動に、ため息をついてしまうこと、ないでしょうか。「男も女も同じ人間なのだから」と無理に理解しようとすると、疲れるだけ! ここはひとつ、「別の生きものなのだ」ということを理解させてくれる漫画を読んで、気持ちを落ち着けましょう。特に、思春期男子の理解不能なバカさ加減は一見の価値アリ!
『ぼくらのフンカ祭』は、火山が噴火したことで過疎の街から急に温泉街と化した街が舞台。ちょっと屈折した富山と、屈託のない桜島、二人の男子高校生の友情が描かれていきます。モテようと無理やりバンドを組んだり、ノートに精密な落書きをしたり、突然髪を金髪に染めて眼鏡をかけてみたり、巨大な壁画に体当たりしたり。
同じ年上のお姉さんを二人とも好きになって、片方がつきあって、仲たがいして、でも一緒に橋から川に飛び込んで仲直りして、最後は二人で溶岩の迫る火山を頂上からそりで一気に滑り降りる…って何なのそれ!?
『モテないのではない モテたくないのだ!!』にいたっては、このタイトルがすべて! 「オレは生涯 恋だとかそーいうものからは完全におりるのだ!」と心の中で宣言するも、女子に振り回される地味系中学生男子・片桐くんの日常が赤裸々に描かれます。
「英語の小テストやってきた?」と話しかけてきただけの女子を好きになる、好きでもない女子にしぶしぶ告白してふられる、かわいいけれど「ヤバイ」女子に、男子一同だまされる…。 「あーほんっと男ってバカ!」と結局同じ言葉が出てくるのですが、読後のこのセリフは、ちょっとトーンが変わっています。男ってバカ、だけど「かわいい」のニュアンスがどうしても含まれてしまうのです。
彼ら自身、「俺らってほんとバカでしょ?」と言いながら、ちょっと誇らしげなところがまたニクイ! バカをやれるのは、あるいはバカをやってサマになるのは、男子だけの特権なのかもしれません。思春期男子を笑って許したその目線で、隣の夫を見てみましょう。ちょっとかわいく見えて…は、こないですかねえ…。
(文/門倉紫麻)
※女性セブン2012年10月11日号