国会議員の入党希望が殺到している日本維新の会で“離党騒ぎ”が勃発した。橋下徹・大阪市長が誇るブレーン集団が「三行半」を突きつけようとしているのだ。
発端は、大阪府市統合本部の看板組織「エネルギー戦略会議」が松井一郎・大阪府知事によって突如、活動中止に追い込まれたことだ。しかも、理由は「条例に基づかない会議は法令違反の疑いがある」という曖昧なもの。
同会議は経産省OBの古賀茂明氏や環境学者の飯田哲也氏ら名うての論客が委員に名を連ね、大飯原発再稼働反対緊急声明を出したり、政府のエネルギー需給見通しの誤りを指摘するなど、文字通り橋下維新の脱原発路線を支えてきた。
委員たちにすれば、橋下氏や松井氏に請われて就任したのに、今になって“あんたたちは違法なことをしていた”といわれたのだから怒るのも無理はない。
「維新の国政進出にあたって経済界にも気配りをしておきたい松井知事にすれば、強硬な反原発論者ぞろいの戦略会議は煙たい存在。いま経済界を怒らせるようなエネルギー戦略を策定されては困るから、口実をつけて休眠させようとした」(維新関係者)
ブレーンたちはそれでも自主的に市民参加で会議を開いたが、府も市も「会議室は貸せない」と協力を拒否したうえ、役所のHPにも開催を告知しなかった。戦略会議を潰したい意図は見え見えだ。
怒り心頭の古賀氏はメルマガで、〈経産省の官僚と話したら、「松井知事に感謝する。国政にかまけているとこういうことになるから、地方にとどまった方がいいとアドバイスしたら」と皮肉たっぷりに言われてしまった。官僚達は本当に喜んでいると思います〉と厳しい松井批判を展開している。
「松井知事はこの際、反原発論者を追い出したいのかもしれないが、古賀さんや飯田さんは、ここでキレたら役所の思うつぼだと、脱原発の流れを途絶えさせないためにぎりぎりで辞任を思いとどまっている。橋下さんが本気で仲裁しないと、橋下改革を支えようと手弁当で集まった顧問たちが去っていくでしょう」(維新ブレーンの1人)
当の橋下氏は経緯を知らないはずはないが、目下、総選挙に備えて各党からの陣笠議員のスカウトで頭がいっぱいの様子。しかし、改革の戦力にならない陣笠議員をいくら集めても、“一騎当千”の有力ブレーンが離反すれば大幅な戦力ダウンになる。
※週刊ポスト2012年10月12日号